2018年12月07日 1554号

【尊厳ある暮らし・介護を求めるつどい/地域で悩み共有 市民の力が市政を変える】

 「尊厳ある暮らし・介護を求めるつどい」(主催:「尊厳ある暮らしを!」連絡会/平和と民主主義をともにつくる会・大阪)が11月18日、大阪市城東区で開かれた。

 サブテーマは「介護 不安がいっぱい!どないしよ?」。介護にかかわる人の切実な声そのものだ。ロの字に囲んだテーブルに40数人。お互いの顔が見えるアットホームな雰囲気の中、集いが始まる。

 基調は、ともにつくる会・大阪代表の山川よしやすさん。特養老人ホーム勤務経験がある山川さんは、「公的福祉」から「大企業が参入しやすい制度」に変えられてきた大きな流れを強調。「公的福祉」は壊される一方「自助・共助」の強調で家族や地域へ丸投げ。介護保険料は年々上がり、大阪市は7927円(全国の政令市で最高、2025年度試算では1万2千円程度にも)。保険料が払えない滞納者も増大しており大きな問題となっていると指摘した。

 「尊厳ある暮らし・介護」を得るには、どうすればいいのか。「認知症の人と家族の会」大阪府支部代表の木寺喜義さんが自らの体験を語った。

 母親の認知症が進むにつれ、施設に入れるかどうか悩んだが、母親の意思を尊重し家で看ることを選んだ。12年8か月介護し、今年4月看取った。「母の最期はロウソクの火が燃え尽きるようで、自分としてもやり切れた達成感があった」。介護は家族も当事者、そこで「家族の会」を立ちあげ、つなぐ活動を続けている。

 会場からも発言があった。脳性麻痺で車いすの女性が訴えた。障がい者にとっては、「介護サポートは長年の運動で勝ち取ってきた自己決定権を遂行させるための一つの手段」だ。「朝何を食べるか、どの病院へ行くかなどの決定、つまりどんな人生を送りたいのかまで及ぶ大事なこと」と思いを語った。

 すべての人が尊厳ある暮らしをするには、「公的福祉」を拡充させることだ。会場から活発に意見が出る。

 和歌山に住む認知症がすすむ父を遠距離介護する女性は、「財政悪化を理由にした社会保障費削減はやめてほしい。黙ってないで要望していくことが大事だ」。中には「介護サービスを受けるにはどうすれば?」と率直な質問も出た。保険料は年金から天引きするのに、利用するための基本的な仕組みさえ伝えられていない実態も明らかになった。

 老々介護の苦労や地域にそうした介護を抱える悩みや思いを共有できる場がない現実など、交流が深まった。

 集いの実行委員長、渋谷さんは「その人にとって必要な介護が届くよう、自己決定でき、尊厳が保持できる血の通った制度が必要だ」と強調する。しかし、維新による大阪府・市政はカジノや万博に莫大な税金を使い、介護保険料は上げ続け、訪問介護の回数制限など介護は切り捨てている。「市民の力で、要求を束にし変えていくことが大事。これからもこうした集いを重ねていきたい」とまとめた。11月12日、厚労省要請行動に取り組んだ山川さんは、生活者が声をあげ、市政や政府の政策を変えさせていこうと訴えた。

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