2018年12月14日 1555号

【1555号主張 沖縄・辺野古 市民は屈しない 12・14土砂投入を許さない】

土砂投入を急ぐ政府

 東アジアに平和の風が吹く中で、その流れに逆行しているのが安倍政権だ。民意を一顧だにせず辺野古の新基地建設を強行し、南西諸島への自衛隊配備を進め、排外主義と軍事的緊張をあおっている。

 12月3日、岩屋防衛相は14日にも辺野古埋め立て予定地への土砂投入を開始すると発表。沖縄防衛局は3日朝から、台風で破損した本部(もとぶ)港に代わって、名護市安和(あわ)の民間施設である琉球セメント所有の桟橋で埋め立て土砂積み込み作業を始めた。しかし、この桟橋は最近建設され、工事完了届もされていない。玉城知事は「作業は違法だ。土砂投入を行うのは断じて許されない」と憤りをあらわにした。

 県と政府の集中協議で政府は県の要求に一切応えなかった。協議中も工事は強行され、政府の言う「沖縄と寄り添う」などとは程遠い。県は護岸建設費が当初の約11倍となっており、軟弱地盤への対策等を加味すると全体の建設費が約10倍の2兆5500億円に、工期は13年に延びると試算。計画見直しを迫ったが、国は聞く耳も持たなかった。

 玉城知事は11月29日、埋め立て承認撤回の効力を一時停止させた国交相の決定を違法とし、国地方係争処理委員会へ審査を申し出た。公正に審査が行われれば、執行停止決定取り消し、工事停止が当然だが、世論の包囲が必要だ。

展望広げる県民投票へ

 政府が土砂投入を急ぐ背景に、県民投票の前に埋め立ての既成事実を作り、県民に諦めを迫る狙いがある。

 辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票は来年2月14日告示、24日投開票で実施される。賛否いずれかが過半数を得て有権者総数の4分の1以上に達した時、その結果を知事は尊重し、首相と米大統領に通知すると定められている。

 宜野湾糸満、石垣の3市が投票への態度を保留するものの、宜野湾市では県民投票実施を求める署名が市民5264人、有効署名4813人分集まっている。昨年、米軍機の部品落下事故が起きた同市緑ヶ丘保育園の父母らでつくる「チーム緑ヶ丘1207」は投票権行使を求める声明文を発表した。

 県民投票で基地建設反対の民意が示されれば、翁長(おなが)県政による埋め立て承認撤回の公益性が改めて証明される。法廷闘争での根拠ともなり、現在の「要件撤回」に加えて「公益撤回」も可能となるなど、新基地建設阻止を実現していく展望はさらに広がる。

沖縄・韓国民衆と連帯

 県民は諦めない。12月1日には県民大行動がキャンプ・シュワブゲート前で開催され県内外から千人が参加。政府が14日土砂投入を発表した3日も「これぐらいで屈しない」と辺野古でも琉球セメント桟橋のある安和でも市民の阻止行動が展開された。

 石垣市では平得大俣(ひらえおおまた)への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票実施に向けた署名が1万4844筆集まった。

 東アジアの平和を切り拓く展望は、基地やミサイルはいらないと闘う沖縄や韓国民衆との連帯にある。12月9〜16日「東アジアに平和を!武力なき平和のためのスピーキングツアー」が行われる。韓国・サード(高高度防衛ミサイル)配備反対の市民、諦めることなく闘う沖縄県民とともに平和を築こう。

  (12月3日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS