2018年12月14日 1555号

【辺野古新基地 国の違法訴え係争委へ申し出 土曜大行動 1000人が怒りの結集 12月14日 土砂投入を止めよう】

 1か月間辺野古新基地工事をストップさせ、話し合いに応じるようにという玉城デニー沖縄県知事の要請で始まった県と国の集中協議。11月28日、知事と安倍晋三首相の間で1か月の最後となる会談が行われた。「知事選で示された反対の民意を真摯に受け止め、辺野古の工事を中止・断念するよう」と求めた玉城知事に対し、安倍首相は「米国との約束通り移設作業を進めていく」と、これまでの国の主張を繰り返し、県民の思いを全く顧みなかった。

 協議の間も国は工事を止めることなく、土砂投入の準備を進めていた。対話に応じたとの格好を見せただけで、内実ある協議を行う気などなかった。玉城知事は引き続き対話解決を要求するが、安倍政権の不誠実さと強硬姿勢は今まで以上にきわだっている。

執行停止は違法

 沖縄防衛局が県の埋め立て承認撤回を取り消す審査請求を国土交通省に申し立てたことを受け、沖縄県は11月19日、申し立て却下を求める弁明書を国土交通省に送付。さらに、県は承認撤回の効力を停止した国土交通相の決定は違法な関与として、国地方係争処理委員会へ審査申出書を送付し、30日受理された。

 県は申出書で、国民の権利救済を目的とした行政不服審査を私人でない防衛局が申し立てることはできず、撤回の効力を執行停止した国交相も内閣の一員で第三者たる審査庁ではないと批判した。係争委の審査期限は来年2月28日。係争委の判断に予断は許されず、再び法廷闘争に持ち込まれるか行方が決まる。国の違法を認めぬよう注視しなければならない。

県民投票は2月24日

 玉城デニー知事は、「辺野古米軍基地建設のための埋め立て賛否を問う」県民投票を来年2月14日告示、24日投開票とすると正式に発表した。

 投票結果に法的拘束力はないが、県民投票で辺野古新基地反対の民意が再度示されれば、埋め立て承認撤回の後押しになり、今後予想される裁判闘争などにも大きな政治的影響力を発揮する。

 県民投票事務への態度を保留している自治体は、石垣市、糸満市、宜野湾(ぎのわん)市の3市。県は全市町村実施へ保留する自治体に説明を求めている。

 市民から実施を求める動きも出ている。県民投票の会のほか、昨年12月米軍機の部品落下物事故が起きた宜野湾市の緑ヶ丘保育園保護者でつくる「チーム緑ヶ丘1207」は、12月宜野湾市議会で与党議員が投票反対意見書を提出しようとしていることを懸念し、「市民の投票する権利を奪わないで」と投票権の行使を求める声明を発表した。

 多くの県民の直接請求署名で実現した県民投票。市民の意思表示の場を奪う暴挙は決して許されない。

民間桟橋で土砂搬出

 11月1日から工事が再開され、辺野古シュワブゲートからは連日150台余りの車両が入構し、土砂投入の準備が急ピッチで進む。

 台風被害による岸壁破損で本部町(もとぶ)の本部港塩川地区が3月いっぱいは土砂搬出に使用できない。沖縄防衛局は、塩川地区の東約3キロにある名護市安和(あわ)の民間業者琉球セメント桟橋を使用することにした。国は強引な手を使いあきらめを狙う。琉球セメントの港周辺では、敷地と歩道を隔てる柵に幕とカミソリ刃状の鉄条網が張り巡らされている。11月30日には約30人の市民が桟橋に至る敷地入口で「国は民間企業の停泊場を使うな」と抗議した。

 そして12月3日、岩屋毅防衛相は、14日にも辺野古海域への土砂投入を開始と発表。安和の港では、反対する市民を排除し土砂の積み込み作業が強行された。

「汚い手に負けない」

 12月1日、辺野古キャンプ・シュワブ前テントで行われた土曜大行動集会に千人の市民が結集。土砂投入策動と民間桟橋を使用することに激しい怒りの声が上がった。

 沖縄県選出の伊波洋一参院議員は「琉球セメントの桟橋は県に申請されて作られ使用条件が決まっている。埋め立ての土砂を出すことはできない。国はあえて知りながらやっている。違法な使用は許さない」と国会で追及することを述べた。ヘリ基地反対協議会の浦島悦子さんは「玉城知事を誕生させたのはウチナーンチュの誇りがあるから。国が汚い手を使っても県民の怒りをかきたてるだけで、絶対に負けることはない。今、琉球諸島全体が米軍・自衛隊によって餌食にされようとしている。軍事化を許さない」と琉球諸島が一体となって闘うことを強調した。

 12月14日土砂投入阻止に向け、辺野古ゲート前とともに名護市安和での新たな闘いがはじまっている。  (A)



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