2018年12月21日 1556号

【1556号主張 改憲阻止に確信持ち闘おう 自民改憲案提示できなかった】

与党分岐で提示断念

 今臨時国会で自民党改憲案の提示はできなかった。安倍首相が10月24日、所信表明演説で「憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく」と述べたことが実行できなかったのである。

 安倍は、自民党憲法改正推進本部長に下村元文科相、衆院憲法審査会与党筆頭幹事に新藤元総務相を任命し、強硬に改憲を進めようとした。自ら「国民のため命を賭して任務を遂行する自衛隊員の正当性の明文化、明確化は国防の根幹にかかわる」(10/29衆院本会議)と9条改憲を強く主張し、下村は、憲法審査会欠席の野党を「高い歳費をもらっているにもかかわらず、国会議員として職場放棄してもいいのか」と批判した。

 これに対し野党は当然批判を強めた。二階自民党幹事長さえ「本人の責任で何をおっしゃっても結構だが、野党にものを言う場合は、慎重の上にも慎重であってもらいたい」と批判するほどだ。山口公明党代表は「来年は政治課題が目白押しだ。憲法改正について(各党で)しっかりと合意を形成していく政治的な余裕は、なかなか見いだしがたいのではないか」と来年中の国会発議は困難と述べた。与党内での分岐が強まったのである。その結果、11月29日、憲法審査会を無理やり開催したものの、結局改憲案提示は断念することとなった。

市民の強い安倍批判

 安倍が執拗にこだわった改憲案提示がなぜできなかったのか。根底に安倍政権への市民の強い批判がある。

 その象徴が沖縄県知事選玉城デニー勝利だ。権力は必死であらゆる手段を駆使したが、安倍政権は敗北した。朝日新聞世論調査(11/17〜11/18)では「今国会で改憲案提示すべきでない」が70%と圧倒的多数だった。まさに安倍改憲路線への不信任だ。沖縄知事選に示された市民の力が改憲勢力の思うようには進ませなかったのである。

 東アジア情勢は、安倍政権の進める軍拡・改憲路線が不適合なものとなったことを示す。にもかかわらず安倍は大軍拡を進める。F35100機導入、イージスアショア配備、「いずも」型護衛艦の空母化など改憲体制にふさわしい装備をめざし、辺野古新基地建設、南西諸島への自衛隊配備強化を強行している。そのための財源として社会保障削減、消費税増税を狙っている。

 また、今国会で、出入国管理法改定や水道法改悪などグローバル資本の利益に応える政策を強行通過させた。だが、これは強さの表れではない。強行することでますます墓穴を掘っているのである。

改憲を葬り去る展望

 安倍政権は来年の通常国会での改憲発議を執拗に狙ってくる。やめると言えば即座に政権が崩壊するからである。

 しかし、多くの市民が怒りを燃やし、沖縄知事選に示された勝利の展望を持ちつつある。改憲発議を阻止し、参院選勝利で改憲を葬り去る展望が大きく開けている。辺野古新基地を阻止し、排外主義を許さぬ日韓市民の連帯で、東アジアの平和を作り出す時が来た。3000万署名、東アジアの平和署名をいっそう広げよう。安倍打倒、改憲阻止の確信を持ち、闘いぬこう。

  (12月9日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS