2018年12月28日 1557号

【ミリタリー 強まる人殺し訓練高度化 命を奪う事故続発】

 大日本帝国によるアジア太平洋全域への侵略戦争拡大開始という歴史的事件から77年目にあたる12月8日。この日「住民の命をまもり、自衛隊の実弾演習に反対するあいば野集会」が滋賀県高島市で開催され、筆者も参加した。11月14日に発生したあいば野演習場での迫撃砲実弾訓練による誤射、民間車両損傷事件に抗議し、実弾演習の中止を求める集会であった。

 あいば野演習場では2015年7月にも重機関銃による民家の屋根と天井を貫通する事件、さらに16年6月には無人偵察機が訓練中に若狭湾に墜落する事故も起きた。実弾訓練の中止は切実で喫緊の要求である。

 戦前から陸軍砲兵隊の演習場として存在し続けてきたあいば野演習場。現在は、陸上自衛隊中部方面隊最大の演習場で、中部方面隊の各部隊から年間350日間にのべ30万人が来る。実弾訓練約150日、ヘリ飛行約200日、市街地徒歩訓練約30回。都市型戦闘訓練施設での訓練には約6000人が参加している。

 航空関係では、1972年にナイキJミサイル部隊として発足し、93年に地対空誘導弾PAC2、99年にPAC3を配備。「立派な」ミサイル基地でもある。

 日米合同演習では、13年10月MV22オスプレイが本土初戦闘訓練、15年9月戦争法国会審議の最中、米海兵隊と陸自第50普通科連隊が訓練、16年8〜9月米陸軍ストライカー装甲車等を使い激しい実弾射撃訓練を実施。19年1〜3月には、あいば野では16回目の共同訓練となる米海兵隊と陸自中部方面隊との共同演習が計画されている。

 あいば野演習場の機能と実態は、沖縄のキャンプ・ハンセン等の米海兵隊基地と変わらない。訓練区域内に県道や国道など住民の生活道路が走っていることも同様だ。今回の迫撃砲誤射事件では、昼間は1時間で400台の自動車が通過する国道303号を直撃し、停車中の民間車両を破損した。いつ事故が起こってもおかしくない。住民の安全より軍事優先≠フ姿勢は、沖縄の米軍と同じだ。

米軍機の連続墜落も

 米軍の訓練では12月6日、岩国基地所属のFA18Dスーパーホーネット戦闘攻撃機とKC130空中給油機が高知県沖で接触、墜落。乗員7名中6名の命が奪われる悲惨な事故が発生した。FA18の乗員2名は救出されたが、うち1名は死亡。KC130の5名の乗員は行方不明のまま死亡とみなされ捜索は打ち切られた。

 事故機は、長距離飛行の任務に対応するため、難度が高いとされる夜間の空中給油訓練を行っていたといわれる。16年12月に沖縄県名護市で普天間のオスプレイが墜落、大破した事故も、夜間の空中給油訓練の際に起きた。さらに、11月12日に沖縄沖で米海軍のFA18F戦闘攻撃機が墜落。16年12月、海兵隊のFA18Cが墜落して1人が死亡し、同年9月にも米攻撃機AV8ハリアー1機が沖縄本島沖で墜落している。

 今、ひと言でいえば中国と一戦交える≠アとをリアルに想定し、日米の戦争計画が策定されつつある。この戦争政策を背景に軍事の肥大化、演習強化が事故、事件を激増させていることは間違いない。住民はもちろん兵士も含め、かけがえのない命のために、人殺し訓練の高度化はただちに止める以外にない。

豆多 敏紀
平和と生活をむすぶ会

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