2019年01月04・11日 1558号

【辺野古新基地は絶対止める 土砂投入に燃え上がる県民の怒り 玉城知事とともに諦めぬ決意新た】

現地数百の抗議の中

 12月14日、ついに安倍政権は護岸で囲った辺野古崎の先端南側区域の埋め立てを強行した。ダンプカーに満載された赤土が「N3護岸」の上に投下されると、待ち受けていたブルドーザーが白いシートで覆われた護岸内に土砂を押し入れた。海上の抗議船7隻と辺野古ブルーのカヌー隊49艇から悲鳴が上がった。「工事を止めろ」「海を壊すな」。護岸では、土砂を積んだダンプカー12台が順番を待つ。

 キャンプ・シュワブのゲート前に、浜テントから土砂投入の情報が無線で流れた。時刻は午前11時。沖縄平和運動センター議長の山城博治さんが、怒りのシュプレヒコールを呼びかけた。いつもの工事車両用ゲートではなく、米軍車輌専用ゲート前で抗議集会が始まった。さらに北側の第2ゲートでは、キャンプ・シュワブに入る米軍車両を市民数十人で止めたため、ライフルを構える米兵とのにらみ合いが続く。辺野古沿岸域の海上行動に100人以上、第1ゲート前に300人以上、第2ゲート前にも100人近くが県警機動隊、海上保安庁、米軍警、米兵に立ち向かう。攻防は6時間以上続いた。

法も行政指導も無視

 安倍や菅の「日本は法治国家」を耳にするたびに怒りに震える。土砂投入2日前の12月12日、沖縄県は、国土交通相の埋め立て承認撤回の執行停止は違法・無効として、沖縄防衛局に対し「違法な工事を進めることは断固として容認できず、ましてや土砂投入は絶対に許されない」と直ちに工事を中止するよう求めて行政指導した。前日13日には、玉城デニー沖縄県知事が直接、菅義偉官房長官と岩屋毅防衛相に工事中止を求めた。にもかかわらず14日、国は土砂を投入した。

 違法工事を積み重ね、法令も行政ルールも一切守らず工事を強行してきた安倍政権。県からの要請を聞かず問答無用に強行するその姿は、「沖縄県民に寄り添う」どころか、県民を愚弄し、虐げるばかり。岩屋防衛相は「辺野古への移設工事着工は、日米両政府のためではなく、日本国民の皆さまのためにある」と言い切った。沖縄県民はその日本国民≠ノ含まれていないのか。

 玉城知事は14日の会見で「逆に県民の強い反発を招き、工事を強行すればするほど、県民の怒りはますます燃え上がる」と語気を強めた。

展望なき無謀な工事

 今回の土砂投入は、辺野古崎の「N3」「N5」「K4」の3護岸で囲われた海域。面積約6・3fで、埋め立て区域全体160fの約4%にあたる。浅瀬の岩礁区域で大潮の時期には歩いて渡れる。この区域の埋め立てに必要な土砂は131万6500立方メートル。10トンダンプの22万台分に相当する(12/4沖縄タイムス)。埋め立て全体の2100万立方メートルではダンプ260万台分とも350万台分ともいわれる。

 これほどの膨大な埋め立て工事に、政府自身、展望など持っていない。大浦湾側の軟弱地盤や活断層問題で工事がこの先進まないことは、防衛省幹部も政府関係者もみなわかっている。それでも強行する。そんな政治家や官僚がこの国を支配している。

 沖縄県と政府の協議で、県は、辺野古新基地はすでに工事が遅れ運用まで13年かかり、その間、普天間基地の危険性は放置されること、総事業費も当初の2405億円から最大2兆5500億円になることを具体的に示した。だが、政府は何一つ答えぬまま無謀かつ無駄な工事を続ける。まさに破滅への道だ。


ゲート前で玉城知事が激励

 埋め立て強行開始の翌15日、玉城知事がゲート前を訪れた。国の埋め立てを暴挙と批判し、「対話は大切だが、対抗すべきときは対抗する。ひるんだり恐れたりくじけたりしない。勝つことは難しいが、諦めない」と新基地建設阻止へ連帯を呼びかけた。笑顔の知事が現れたことでゲート前は一気に朗らかになった。「曇った気分が晴れた」。落胆しそうになる市民のもとに、知事が直ちに足を運び熱い連帯の言葉で激励する。諦めない決意を参加者一同、新たにすることができた。

 米ホワイトハウスの請願サイト"We the People"で12月8日に始まった電子署名「沖縄の県民投票実施まで、辺野古・大浦湾の埋め立て停止を」が、18日午前1時段階で10万筆に達した。10日間で10万筆突破は記録的で、その後も増え続けている。同サイトの規定で10万筆に達した請願は、ホワイトハウスがその内容や対応を検討する対象となる。

 辺野古の埋め立てを止めるために、あらゆる運動と手をつなぎ、声を上げ広げていくことだ。今、闘いのとき。

        (N)

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