2019年01月04・11日 1558号

【みる…よむ…サナテレビ(504)/2018年12月22日配信 イラク平和テレビ局in Japan/イスラム主義私兵による市民の暗殺相次ぐ】

 イラクでは、社会サービスが崩壊し水も電気も来ない生活を強いられた市民が政府に抗議の声を上げている。ところが、権力者たちはイスラム主義私兵を使って政府を批判する市民を暗殺している。2018年9月、サナテレビはこの状況についてバグダッドの市民にインタビューした。

 イラクに関する最近のメディア報道では、内戦や軍事介入、対市民テロ攻撃などの扱いは少なくなっている。しかし、イラク市民の命を狙う動きは、目立たないように巧妙に続いている。

 女性活動家は、国家と権力者による市民暗殺というショッキングな実態を明らかにする。「抗議行動の続くバスラではデモ参加者が暗殺された。参加者の人権を守る活動をしている弁護士も暗殺された」

 そのやり方は次のようなものだ。「人権活動家のスアド・アル・アリさんも暗殺された。それを『元の夫がスアド・アル・アリを殺した』として、いかにも個人や家族間の感情のもつれによる殺人事件のように扱う。しかし、実際にはこの人たちの活動が気に食わない政府権力の組織的な暗殺だった」と言う。

 さらに、化粧品やファッション業界で働く女性たちも暗殺されている。女性の社会進出を憎悪する当局者の仕業である。

 女性活動家は「この人たちは、平和活動家たち、美の創造者たち、人生と芸術を愛する人たちという3つのグループに分けられるが、腐敗した当局者という一つの敵を持っている。自由と平和を求めて生きようとする人びとをイラクの権力者は、静かに抹殺した」と憤る。対市民テロの実行者を取り締まった元陸軍将校も暗殺された。

 別の活動家は「権力者が市民を暗殺する目的は、民衆の声や抗議行動を抑え込み、国家が民衆を支配するため」と語る。権力者は自分の利益のために人の命を平然と奪っているのだ。

 イラクでは、最低限の自由や人間的な暮らしを求める市民に対しても攻撃が強まり、暗殺が横行している。サナテレビはこの実態を広く知らせ、政府と権力者に立ち向かおうと呼びかけている。日本からイラク市民の闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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