2019年01月04・11日 1558号

【たんぽぽの綿毛を平和の風に乗せて】

全国に広げよう/『ソソンリ』上映を

 映画はのどかな田園風景から始まります。ハルモニたちが畑に苗を植えながら、洗濯物を畳みながら、語ります。村に女性会をつくり女性が軽視されている状況を変えようと活動するイム・スンブンさん。鼻に虫が入ったと笑いつつも、我が子を小さくして亡くした過去を語るクミョン・ハルモニ。エゴマの葉を束ねながら談笑し、手押し車を押してあぜ道を行く。ソソンリの女性たちのありのままの平和な日常が映し出されます。

 そんな中、突然夜中に電話が。「今、サードが入ってきています」。村の様子は一転します。毎日のように飛ぶ飛行機。大量の警察官。搬入されるミサイル。右翼団体の攻撃。ハルモニの脳裏に朝鮮戦争の記憶がよみがえります。「あそこで人が大勢死んだんだ。アカと呼ばれ鎖で縛られて穴の中で皆殺しにされた」「飛行機が飛んでくると竹やぶの中に身を潜めたよ」

 サード搬入を阻止しようとハルモニたちの座り込みが始まります。「私たちは戦争の酷さを知っている。若い人は知らない。若い人に戦争を残すまいと闘い続けるんだ」

 抗議行動に疲労感が募ることも。しかし闘いをやめません。「昔の年寄りは騙せたかもしれないが、今はテレビもある。私たちが何も知らないと思ったら大間違い」「文在寅は反対って言ってたじゃないか」と怒りをぶつけます。警察と対峙し、演歌を歌いながら、たくましく闘う姿に勇気づけられます。ハルモニたちは今日も平和のタネを育て、苗を植え続けています。

 映画『ソソンリ』はこれまで14か所で上映運動が取り組まれ、約300名がご覧になりました。「沖縄の辺野古・高江と一緒だ」「静かな映画だが、その分平和な農村の生活と全く相容れないサードとの対比が鮮明だった」「2回、3回と見る度に理解が増した」と感想が寄せられています。チラシやインターネットを見た方からの問い合わせも続々と入ってきています。

 日米韓グローバル資本の戦争推進勢力が、韓国で、沖縄で、暴力を使って人々の生活を壊し続けています。それに対抗する力は、平和を願う日韓市民の連帯による粘り強い闘いです。今、東アジアには平和の風が吹いています。タネは風に乗ってどこへでも飛んでいけます。たんぽぽの綿毛のように映画上映を日本全国に広げていきましょう。

(ZENKO関東実行委員会・K)

感想出し合い 「沖縄の状況と同じ」

 12月8日、神戸市内の上映会には、2回の上映であわせて約50人が参加。沖縄県知事選の映像も上映した後、感想を出し合った。以下紹介する。

 「すごく感動しています。おばあさんたちの闘っていく姿が希望を与えてくれます。今、沖縄でも民意を無視した土砂運搬が進められているけど、気持ちを同じくするためにも連帯したいと思いました」「ソソンリの状況は沖縄の状況と同じだと感じました。基地はいらない、サードやオスプレイで平和が作れない。平和とは何か? 何が平和をつくるのか? をもっと一人ひとりが考えて、正しい歴史を学び、戦争のない世界を作るため、私も何ができるのか想像力を働かせていきたいです」「ハルモニたちが願っているのは、農村の平和な暮らしを未来の子どもたちに残したい、ということなんだと思いました。だから戦争のためのサードはいらない。サードを望んでいる者の一つに日本政府があると思います。ハルモニたちの思いに、何度も目頭が熱くなりました」

 朝鮮半島情勢が動く中で、戦争の火種となり日常を破壊するサード(高高度防衛ミサイル)に反対するソソンリのおばあさんの声をもっと多くの人びとに伝えていきたい。

(ZENKO兵庫・松谷卓人)

全国自主上映会スケジュール

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS