2019年01月04・11日 1558号

【ZENKO 厚生労働省に要請/介護労働者の賃金引き上げを/小規模事業所への支援強化を/介護保険財政の国庫負担増を】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は12月17日、厚生労働省に「高齢者の尊厳ある暮らしを守り、介護保険制度の改善を求める請願」をおこなった。

 請願は5項目からなる。(1)介護労働者の賃金改善を含む介護人材不足の具体的解決策の明示(2)居宅介護支援事業所の「管理者は主任ケアマネージャー」要件の見直し(3)お泊りデイサービスの「緊急・短期的利用限定」基準の取り消し(4)介護保険料の軽減、介護保険財政への国庫負担増(5)混合介護とは何か。

 厚労省担当者との間でまず議論になったのは、(2)について。18年度の介護報酬改定で「質の高いケアマネージメントを推進する」として定めた要件だが、現場は大混乱している。請願参加者から「経験あるケアマネさんが50何時間の研修を受ける時間はない。介護サービスを支える小規模事業所がそのために撤退していく」と危機感がつきつけられる。厚労省側は「(要件を満たさないからといって)行政処分ですぐ“お取り潰し”にはならない」と図らずも一人ケアマネ事業所“取り潰し”の狙いを露呈させた。

 (3)について、土屋のりこ足立区議が「基準はあっても現場の必要性に応じケアマネさんと相談しつつ柔軟に適用するということでよいか」と確認を求めた。厚労省側は「利用者の日常生活の世話をする家族の疾病等やむを得ない事情がある時は柔軟な対応を、と通知にも記載している。(お泊りが)長引くことを規制するものではない」と応じる。足立区で小規模多機能施設を営む大久保信之さんは「認知症の方を緊急に受け入れたり、泊めてでもすぐに家族から保護しなければいけなかったり、お泊りデイの役割は大きい。短期間に限定しないでほしい」と要望した。

 (4)に関連して、大阪市で介護保険料滞納により全国最多の870人が財産を差し押さえられた事実を指摘。山川よしやすZENKO共同代表は「妻ががんになり、貯金を使い果たした人の財産を没収。どう生きていくのか。むしり取るようなもの」と語気を強める。厚労省側は介護保険料軽減のための一般会計からの補填について「制度の持続可能性、被保険者の公平性、財政規律の保持の観点から望ましくない」と財務省まがいの回答に終始した。

 (1)に対しては「子育てを終えた女性の参入を促す研修を普及、介護ロボットを活用して生産性を向上、介護の仕事の魅力を発信」と空疎な対策を並べるだけで、賃金引き上げは明言しなかった。(5)「混合介護」という用語は、医療保険が保険給付と自由診療を組み合わせる「混合診療」を原則禁止しているのと違い、介護保険は保険が効くサービスと保険外サービスの併用を認めていることを再確認したものとし、介護ビジネスが提供する保険外サービスについて制度上の基準は設けない考えを示した。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS