2019年01月18日 1559号

【沖縄で「辺野古新基地」問う県民投票/自治・民主主義壊す安倍政権に痛打を/連帯の市民投票を全国で】

 安倍政権は沖縄で最悪の犯罪を続けている。警察権力に警備させ違法工事を進めるばかりか、県民投票に介入し、自己決定権の否定、地方自治破壊の暴挙にでている。沖縄を孤立させてはならない。問われているのはこの国の民主主義だ。全国の自治体から安倍政権に対する抗議の意見書をあげよう。沖縄での県民投票に呼応し、全国で「辺野古ノー」の市民投票を行おう。

県民投票つぶし

 国が土砂投入を続ける沖縄で「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」による投開票が2月24日に行われる。条例は9万人以上の県民の直接請求に基づき、県議会が制定した。「辺野古埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させる」目的で、18歳以上の県民に「賛成」「反対」のどちらかに投票することを求めるものだ。県民は知事選や国政選挙で再三、新基地建設反対の候補者を選択してきた。改めて「埋め立てノー」の明確な意思を国に突きつけることになる。

 ところが県民投票に協力しないとする自治体議員・首長が現れた。

 県民投票条例では、その事務は知事が行う(第3条)としているが、投票資格者名簿の調整、投開票などは「市町村が処理すること」(第13条)と定められている。この事務にかかる予算を否決した議会が県内41市町村中、7市町あった(12/27現在、表参照)。県は、県条例実施のための義務的経費であり、議会が否決した場合、首長は再議に付す義務があり、議会が再度否決しても首長は支出することができる(地方自治法第177条)との見解を示している。与那国町長は議会の否決にもかかわらず投票にかかる事務費執行の意向を表明した。



 だが、安倍政権におもねる首長は「議会の決定」をたてに協力拒否、県政批判へと問題をすり替える。自衛隊基地を誘致した宮古島市長は12月18日、議会が投票事務予算を削除する修正案を2度可決するや、すぐ「投票不参加」を表明。投票は「知事政策の後押しにしかならない」(12/19沖縄タイムス)とあからさまに語った。同じく「非協力」を表明した宜野湾市長は「普天間基地の危険性に言及がない」とケチ付けに終始する。

 「協力拒否」を表明した首長は沖縄市を含め3市(1/7現在)だが、予断は許さない。背後で安倍政権が圧力をかけているからだ。自衛隊配備が進む石垣市。12月25日、市議会は県民投票事務費の補正予算案を賛成9、反対11、退席1で否決した。この採決前に4時間の休会。賛成を表明する与党議員を与党控室や市長室に呼び出し「説得」が行われた(12/26沖縄タイムス)。退席をした賛成派与党議員は「東京の自民関係者からも電話がすごかった」と語ったという。「県民投票つぶし」が行われているのだ。

自己決定権の否定

 地方自治法では、国と県及び市町村は対等な関係にある。県民投票条例の市町村事務は自治事務にあたり、県は地方自治法に基づく「技術的助言」や「勧告」は行えても、強要することはできない。

 では、不当な決定であれ、「議会の意思を尊重」と口にする首長の判断は「正当」なのか。地方自治の根本に立ち返って問い返す必要がある。

 自治とは、自分のことは自分で決める―自己決定権を体現するもの。市民が自由に自らの意思を表明できる民主主義と相まって、地方自治が成立する。議会、首長は主権者の意思を実現するための機関である。県と市という異なる自治体とはいえ、主権者は同じだ。県民投票という直接民主主義の機会を、間接民主主義の制度である議会が否定することはできない。首長が尊重すべきは「議会の意思」ではなく「主権者の意思」でなければならない。

 世論調査では、市長が協力拒否を表明した宮古島市のある宮古地域では80%の人が「全市町村で実施すべき」(1/4 琉球新報)と答えている。県全体での71%よりも高率だった。県政与党や労組などでつくる「県民投票連絡会」が12月29日に実施した調査では、県民投票に「賛成」は74%にのぼる。宜野湾市民は県民投票実施を要求し、年末から年始にかけ市役所前でハンストを行った。宮古島市民も投票実施を求め要請行動を続けている。「投票の権利を奪うな」との主権者の訴えは何よりも優先されねばならない。


全国から自治を守れ

 「沖縄つぶし」を行う安倍政権に、地方自治、民主主義を守れと全国の自治体は抗議の声を上げるべきだ。沖縄を孤立させてはならない。全国での世論調査でも「辺野古土砂投入に反対」は60%(12/18朝日)にのぼっている。「国には勝てない」と諦めることなく、正論をぶつけよう。

 大阪府堺市議会では12月20日、「国と地方自治体との間で起こる様々な問題を処理する上での、悪しき前例となる」との意見書が採択された。自公維新の所属議員が多数(47議席中32)の議会でも、民主主義の危機を感じる市民の働きかけ(9万筆を超える請願署名)が実を結んだ。京都府向日(むこう)市議会は12月18日、「沖縄の民意を尊重せよ」との意見書を可決した(ともに本紙前号既報)。

 他の自治体からも続こう。なによりも、主権者である市民が自治破壊を許さないと声を上げ、請願・陳情を行おう。県民投票に呼応し、全国でも辺野古基地建設の賛否を問う市民投票を行おう。その意義は極めて大きい。

   *  *  *

 国が続けている辺野古での土砂投入は公有水面埋立法違反、赤土等流出防止条例違反であり、明白な違法工事である。白昼堂々となされる現行犯。誰もが止める義務がある。県条例違反を取り締まる立場にある沖縄県警は、現行犯を阻止しようとする市民の行動を制限し、犯罪行為を助長する役割を果たしている。

 違法工事に税金を使うなど許されない。原状復旧費用も含め、すべて安倍晋三はじめ全閣僚に返済させねばならない。安倍政権の犯罪を止めるのは主権者しかいない。

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