2019年01月18日 1559号

【イスラエルは占領を終わらせよ/B(ボイコット)D(資本引き揚げ)S(制裁) japan発足/パレスチナ人の自決権を尊重せよ】

 パレスチナの土地の不法占領を続けるイスラエルに対して、草の根から「BDS」運動が広がっている。

 BはBoycott(ボイコット)、DはDivestment(資本引き揚げ)、SはSanctions(制裁)。2005年、170以上のパレスチナの市民組織が連名で世界に呼びかけたもので、南アフリカのアパルトヘイト体制を撤廃させた闘いにならい、イスラエルが(1)占領・植民地化の終結と壁の撤去(2)パレスチナ市民の基本的権利の承認(3)パレスチナ難民の帰還権の尊重・支援―という国際法の諸勧告に完全に従うまで、これらの措置を実行・継続するよう求めている。

 日本でこの運動に取り組む「BDS japan」が立ち上げられ、12月14日大阪、16日東京で発足集会を開いた。

 東京集会には100人以上が参加。事務局長の役重善洋さんがBDS japanの趣旨・目的を説明した。「『和平プロセス』の名の下、パレスチナ人の状況は悪化するばかり。行き詰まりを打開しようとパレスチナ側から提起されたのがBDS運動だ」

 イスラエル・ボイコットは日本でも成果を収めてきた。2010年、「無印良品」のイスラエル出店計画を中止に追い込んだ。12年、イスラエル入植地で作られる「アハバ」ブランド化粧品の日本国内販売を取りやめさせた。17〜18年、銀座三越と大丸東京店は入植地産ワインの取り扱いを中止した。18年8月、川崎市で行われたイスラエル武器見本市への抗議に市民300人が結集し、ソフトバンクはスポンサーから撤退せざるを得なくなった。

軍事協力強める安倍

 安倍政権の下、日本からイスラエルへの投資額や進出企業数は飛躍的に拡大し、サイバーセキュリティ分野をはじめとした軍事面の結びつきが強まっている。役重さんは「安倍政権とイスラエルとの関係強化は私たちの生活にも関わってくる。きょうの集会を日本におけるBDS運動の大きな跳躍台に」と訴えた。

 続いて、多田謡子反権力人権賞(注)を受賞したパレスチナBDS民族評議会のヌーラ・エラカートさん、反アパルトヘイト運動に携わってきた勝俣誠・明治学院大学名誉教授が講演。「人間の尊厳と平等、自分たちの夢を自分たちで実現する。その種子がBDS運動の中にある」(エラカートさん)「ボイコットは万能ではないが、僕らが今からでもできる数少ない非暴力的な手段」(勝俣さん)と期待と確信が語られた。

 BDS japanは活動方針として(1)ワインやデーツ、柑橘類、チョコレート、エルサレム・ツアー等の消費者ボイコット(2)アーティスト・文化人・スポーツ選手らによるボイコット(3)トヨタや日立等のセキュリティビジネスへの投資活動、軍事協力・武器貿易の監視―などを掲げる。

(注)1986年12月に29歳で亡くなった弁護士・多田謡子さんの志を継いで「多田謡子反権力人権基金」が設立され、89年から毎年、権力と闘い人権擁護に尽くした団体・個人を顕彰している。

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