2019年02月01日 1561号

【安倍の手先が県民投票つぶし/沖縄県民の抗議の声広がる/主権者の意思表明権を奪うな】

 墓場からよみがえったゾンビが沖縄でうごめいている。自民党の宮崎政久衆院議員のことだ。宮崎は2017年10月の衆院選に沖縄2区から出馬したものの、現職の照屋寛徳議員(社民党)に惨敗。その後、政界から姿を消し、政治家としては死んだと思われていた。ところが、比例九州ブロックにも名を連ねていた宮崎は、自民党議員の死去により繰り上げ当選。安倍官邸の手先として沖縄に乗り込み、辺野古新基地建設のための埋め立ての賛否を問う「県民投票」(2月24日実施)をつぶすために暗躍してきた。

「拒否」をそそのかす

 弁護士の資格を持つ宮崎は昨年12月、市町村議会が「県民投票」に関する予算案を採決する前に、県内の保守系議員を集めて勉強会を開催。そこで配布された資料(宮崎が作成)には、「(県民投票に不参加でも)議員が損害賠償などの法的責任を負うことはない」「予算案を否決することに全力を尽くすべきである」などと書かれていた。

 予算案否決のノウハウを指南した文書であることは明らかだ。実際、「県民投票」に反対した議員や首長たちの質問・答弁・コメントは、この文書からの引き写しであることが判明している。

 辺野古新基地問題で「県民投票」を実施すれば、県民の意思として、「新基地反対」という結果が出ることは目に見えている。そこで安倍政権は、あの手この手で投票つぶしを画策してきた。県民投票実施の県条例案が可決されると、今度は全県実施を阻止することで県民投票の意義を損ねさせ、新基地反対の結果が出ても政府として無視することを企んでいる。

 政権が気に入らないことはどんなにあくどい手口を使っても妨害する―。民主主義の否定というほかない。

ハンスト、住民訴訟も

 県民投票に参加しないと表明した5市(沖縄、うるま、宜野湾、宮古島、石垣)では、市民が連日にわたって県民投票実施に向けた様々な動きが取り組まれている。

 1月15日、沖縄市では市農民研修センターに会場満杯の500人が駆けつけ、県民投票実施を求め拳を突き上げた。桑江朝千夫沖縄市長に対して、県民投票の実施を求める市民署名が始まった(1月31日まで)。また市内の41保育園が加盟する「沖縄市私立保育園連盟」は、桑江市長に対して市民の投票権を保障するよう要求書をまとめた。

 宜野湾市では、市民有志でつくる「県民投票じのーんちゅ(宜野湾の人)の会」が1月15日、市を相手に国家賠償請求訴訟を起こす意向を表明した(1/15)。市民の投票権が侵害されたとして、慰謝料を求める。2月24日の県民投票まで原告団を募集し、3月中をめどに提訴する予定だ。同じ日、会は宜野湾市役所前で松川正則市長への抗議集会を開催(1/15)。集まった約120人が「私の参政権を奪わないで」と声をあげた。

 さらに、県民投票実施に向けて条例制定の署名運動に取り組んできた「県民投票の会」の共同代表で宜野湾市民の元山仁士郎さん(一橋大学大学院生)は、各首長に投票事務の実施を求める「ハンガーストライキ」を行った。「県民みんなの1票を、なぜ政治の都合で奪えるのか。一市民として投票できないのは悔しい。県民みんなで投票したい」と主張し、ハンストをしながら5市長宛ての請願署名を集めはじめた。19日午後5時、ドクターストップにより元山さんのハンストは終わった。しかし、全県実施の決意は揺るがない。

全国から連帯を

 自衛隊の配備計画が進む南西諸島ではどうか。宮古島市では1月15日、市民有志でつくる「県民投票実現!みゃーくの会」が宮古島市役所前で抗議の座り込み集会を開催した。参加した約30人の市民が「下地俊彦市長は県民投票を実施すべきだ」と声をあげた。前市議の石嶺香織さんも「市長は議会だけでなく市民の声に耳を傾けるべきだ」と呼びかけた。

 石垣市でも「県民投票を求める石垣市民の会」が、同市・大浜公民館で集会を開催(1/14)。不参加を表明した中山義隆市長に条例に基づき県民投票を実施するよう求める大会決議案を採択した。うるま市でも島袋俊夫市長への抗議行動が予定されている。

 このように、不参加5自治体では県民投票を実施するよう市民が声を上げ続けている。県は、引き続き5市に対して県民投票に参加するように説得活動を続けるとともに、投票事務に法的義務の生じる「是正の要求」による行政指導の執行を行う予定だ。

 安倍政権の「県民投票ボイコット」策動は、主権者の意思表示を封じ自己決定権を奪う暴挙である。全国から県民投票の成功に向けて連帯しよう。        (N)

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