2019年02月01日 1561号

【日韓ユース参加団に加わって/平和は不断の闘いで/連帯は想像力で闘う力に】

 「日韓ユース参加団in沖縄」は日本と韓国の若者40人が沖縄を訪れ、4日間ともに行動し連帯を深め、若者が主体となり平和をつくる取り組みとして大きく成功した。

 では平和とは何だろうか。平和祈念資料館では幼子が亡くなっている写真、証言など沖縄戦の記録は見るものの心を揺さぶる。チビチリガマでは軍国主義教育により母がわが子に手をかけた強制集団死の悲劇を知る。また戦争の悲惨さだけでなく、日本の植民地政策により男性は朝鮮人軍夫として強制労働させ、女性は日本軍「慰安婦」として性奴隷としてきた加害の歴史も直視しなければいけない。

 戦後73年以上経つが、今なお基地の被害は続く。嘉手納基地や普天間基地では飛行ルートや飛行時間が守られず、普天間第二小学校の事件、うるま市の女性殺害事件など住民の生活を脅かし続けている。辺野古では新基地をつくらせないと現場では諦めることなく毎日、座り込みが続けられている。グラスボートでは荒波の大浦湾での自然の力強さ、海底に見えるアオサンゴ、ハマサンゴなどの生態系の豊かさを肌で感じた。

 沖縄では戦争でなくても平和ではない。それと同様に私たち若者の生活も平和ではない。今回の参加者の中には長時間労働により20歳の同僚が自死した者、福島第一原発事故により故郷が被害に遭った者、奨学金の返済に苦しんでいる者、就職活動をしている者など様々な背景を抱えている。韓国の参加者も同様だ。今回、沖縄の基地問題と自分たちの生活は繋がっていることに気が付いた。

 私たち日本と韓国の若者は平和とは何かを語り合った。一緒に料理の準備をし、食事をして、同じお風呂に入った。時が経つにつれ徐々に打ち解ける様子が見て取れ、嬉しくなった。通訳がいなくても翻訳アプリを使い、あちこちで会話の輪が広がる。時間を忘れた交流は深夜にまで及んだ。初日に「韓国と日本の間には超えられない壁があると感じていた」とある参加者が語った。しかし、そこに私たちを隔てる国境という壁はない。これこそが平和であり、国際連帯ではないだろうか。

 平和とは命と人権を守る不断の闘いによりつくられ、連帯とは遠く離れていても思い浮かべることで闘う力となるものだ。今後も日本と韓国の連帯を深める取り組みを進めていきたい。

(「日韓ユース参加団in沖縄」 関西担当・田中 拓真)

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