2019年02月08日 1562号

【植民地支配責任に向き合う判断を/ノー!ハプサ(合祀)第2次訴訟が結審/5月28日判決】

 韓国の旧日本軍軍人・軍属の遺族27人が靖国神社による無断合祀の取り消しなどを求めたノー!ハプサ(合祀)第2次訴訟。2013年10月の提訴から5年3か月を経て1月22日、東京地裁の審理が終結した。

 最終弁論では、まず原告の柳修鋭(ユスエ)さんが陳述。「父は私が生まれる前日に動員され、多くの若者を死に追いやった神風特攻隊の出撃基地で『敵機の攻撃を受け被弾戦死』した。私は父の唯一の子。子としての道理を尽くしたい。なぜ父は加害者と一緒に、しかも日本名で靖国に合祀されなければならないのか。一日も早く靖国から父の名前を取り消してほしい」と訴えた。

 続いて、内田雅敏・大口昭彦・浅野史生各弁護士が1時間半にわたって原告側最終準備書面の概要を明らかにした。

 「ことは信教の自由の問題ではなく、個人の尊厳に関する問題だ。無断合祀は日本の植民地支配下で日本が始めた戦争により殺された原告らの父や兄、遺族である原告らの傷口に塩を塗り込める残酷な行為。2019年は韓国が建国の礎とする『3・1独立運動』から100年の節目の年に当たる。裁判所は韓国に対する植民地支配の負の歴史にしっかりと向き合い、歴史に耐える判断をなすべきだ」

 「原告らはただ、父や兄、自分たち遺族を人間らしく扱うことを要求している。それに対し『当時は日本人だった』とことさらに言い、1910年(韓国併合)・39年(創氏改名)・43〜44年(志願兵制度・徴兵徴用)・45年8月14日に時計の針を巻き戻すことを要求する権利は、日本国・靖国神社・すべての日本人には何らない。裁判所がこの最も端的な理に立ち、アジアの歴史において重要な意味を持つ本事案について、情理兼ね備わった判断を示すよう切に望む」

 原告側はまた、朝鮮における戦争動員体制について論じた庵逧(あんざこ)由香・立命館大学教授の意見書を提出。同意見書は「朝鮮人志願兵が『志願』したのは『生きる』ための選択であり、日本による植民地支配同化政策の結果。しかも彼らは、日本人の軍人が享受してきた軍人恩給制度・補償制度からも疎外されてきた。彼らの要求は戦争被害のみならず、植民地支配から来る被害によるものに他ならない」と結論づけている。

 報告集会で大口弁護士は「1次訴訟と同じ判決では申し訳ない。海を渡って裁判を起こした意味があったと実感できる結果を出す。靖国問題は日本の天皇制、権力の問題に直結。さらに体制を打ち固め、日韓両人民の連帯を実現するために頑張っていきたい」と述べた。

 判決は5月28日午後3時。

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