2019年02月15日 1563号

【沖縄新基地/警備会社使い反対市民監視/民主主義破壊の安倍に市民投票運動でノーを】

またもウソと改ざんか

 安倍政権による市民敵視の行為が再び暴かれた。

 沖縄・辺野古新基地建設工事で「警備」を請け負った警備会社「ライジングサンセキュリティーサービス」の内部文書が明らかになったのだ。1月28日、毎日新聞が報じた。

 文書は警備会社の幹部社員名で作成されたもの。「15年2月頃、沖縄防衛局調達部次長から『反対運動を継続的に行っている人及び船舶の傾向を把握し、より安全な作業を継続してゆくために、反対派リストのようなものを作り監視してほしい』旨の依頼があり作成した」と記載されており、市民60人分の名前が顔写真付きで一覧表になっていた。年齢・経歴などを記録した資料も別に存在するという。15年2月当時は、「ライジングサン」の契約先は工事元請けの大成建設だ。沖縄防衛局は、元請けの頭越しに市民監視のリスト作成を直接指示していたことになる。

 この問題は既に、16年に沖縄タイムスが報道している。当時、警備会社の現場責任者の「沖縄防衛局調達部次長の指示で作成した」との証言の真偽を野党から追及された安倍内閣は「政府として指示をした事実はない」との答弁書を閣議決定している。さらに市民の情報開示請求を受けた防衛局が警備会社に文書を改ざんして出し直すよう依頼した疑いも指摘されている。

 またぞろ安倍の十八番、ウソの閣議決定と文書改ざん指示が明らかにされた。

 「ライジングサン」は単なる警備会社ではない。沖縄防衛局が直接契約に切り替えた16年9月以降の4件の契約で請負代金を水増し請求していた。その総額は26億4千万円に上る。子会社の「マリンセキュリティ」は月200時間超の残業代不払いで沖縄労働基準監督署の指導を受けたブラック企業だ。にもかかわらず沖縄防衛局は契約中止や指名停止などの懲罰的措置をとっていない。

 詐欺行為である水増し請求や労基法違反も大目に見るのは、「民間軍事会社」ばりの市民監視装置として海上保安庁・機動隊とセットの弾圧システムに組み込んでいるからに他ならない。

 平和も人権も民主主義も法治主義も蹂躙−ここまで腐った政権は前例がない。

県民投票妨害は失敗

 市民監視が暴かれた安倍。県民投票への妨害も失敗に終わった。政権の支援を受ける5市(沖縄、うるま、宜野湾、宮古、石垣)の市長が当初、不参加の理由にあげたのは県民投票条例の「不備」だった。「普天間基地の危険性に言及していない」(宜野湾市長)「賛成・反対の2択では多様な民意を反映できない」(沖縄市長)。だがどんな理由をあげようが、投票の機会を奪う理由にはなりえない。「意思表示の機会を奪うな」との市民の抗議は新基地建設容認・反対双方の市民に広がり、瞬く間に全県を覆った。

 市民の声に背を向けることはできない。1月24日、「どちらでもない」の選択肢を加える3択案に条例改正することで県議会全会派一致し、全市実施に合意したはずだった。ところが、29日の条例改正議会で、一部自民党議員は「基地問題に県民投票はなじまない。賛成反対でけりがつく問題ではない」などと主張、反対・退席する者がでた。この結果をうけ、反対派市長たちも「全会一致での採択ではなかった。市議会との調整」などと最後の抵抗を試みたのだ。

 だが、高まる投票実施を求める声を押しとどめることはもはやできなかった。安倍・自民党は民主主義実現を求める市民に勝てなかったのだ。

投票の権利守った県民

 市民一人ひとりが政治参加する権利を保障しようと奮闘する知事や県議会の動向を、地元紙だけでなく、全国紙もこぞって報道した。粘り強い協議経過が伝えられ、安倍政権の強硬姿勢を際立たせた。

 安倍の施政方針演説からは「沖縄の人々に寄り添う」の言葉は消え、替わりに「これまでの20年以上に及ぶ沖縄県や市町村との対話の積み重ねの上に、辺野古移設を進める」と言い放った。政府がしてきた「対話」とは、一方的な通告であり、「恫喝」と「懐柔」だった。安倍政権下ではさらに「無視」と「暴力」が加わった。

 今問われているのは、安倍政権による民主主義圧殺との闘いだ。

 「地域のことは地域住民で決める」という地方自治の原則に沿って実施される県民投票。その結果示された民意の実現に尽力するのが議員の役割だ。中央政府や自民党本部の意向に沿い、反対・退席した県議や非協力を表明してきた市長は、地方自治をおとしめるみじめな姿をさらした。

 1月24日、131人の連名で「辺野古新基地建設の強行に反対する憲法研究者声明」が発表された。声明は、安倍政権が「民主主義」「地方自治」を侵害しているとし、「辺野古が唯一の選択肢」という安倍政権の主張は欺瞞(★ぎまん)だと批判した。投票を拒否する市長への抗議は県外にも広がった。新基地建設強行に反対する意見書も県外自治体で採択されている。

 辺野古新基地建設と県民投票は、平和・民主主義・人権を破壊する安倍政権と全市民の闘いだ。沖縄に連帯し、全国各地から辺野古新基地建設の是非を問う市民投票運動を広げ、安倍政権を倒そう。
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