2019年02月15日 1563号

【日立の英原発事業中断は運動の成果/原発輸出からの完全撤退求め院内集会】

 原発輸出戦略が行き詰まっている。原発メーカーは海外から完全撤退せよ、政府は政策転換を図れ、と攻めの闘いが始まった。2月1日衆院第1議員会館で、日立の英国における原発事業断念を求める集会が開かれ、国会議員や市民ら約30人が集まった。

 主催した「日立製作所による英ウィルヴァ原発輸出反対キャンペーン」の山口兼男さんが昨年1月25日の日立本社申し入れ行動に始まる1年間の経過を報告。参加した立憲民主党・共産党・社民党など6人の衆参両院議員はそろって「粘り強い市民運動の成果」と評価した。

 「安倍政権の進めた政策の破綻を示すもの。今こそ『原発ゼロ法案』を成立させたいが、電機連合の抵抗にあって国民民主党が賛成しない。何としても審議入りにこぎつけたい」「凍結表明の直後、日立の株価が急に上がった。輸出撤退は経済的にも世界の流れだ」「それでも安倍は『地球温暖化、核の平和利用の観点から原発は大切』と答弁。安倍政権を代える以外にない」…。

 キャンペーン世話人のii正明さん(岐阜女子大学南アジア研究センター)は、福島原発事故後のリスク見直しで経済的に大きな負担を抱える原発の危険性は世界的に認識されてきていることを指摘。「原発輸出は公的資金(税金)を使わず企業がすべて負担するならいいだろうという問題ではない。世界のどこにも原発はいらない。そのための活動が必要だ」と述べた。

 原発メーカー訴訟原告団世話人共同代表の大久保徹夫さんは「メーカー責任を問わない米国のプライス・アンダーソン法に準じた原賠法が各国に普及させられ、原発輸出で“利益は自社に”“事故の賠償は電力会社と国に”という有利な条件ができた。そのことが、メーカーのモラルハザードを生み、安全性より経済性重視のシステムをつくり出した」と告発した。

 会場からは「原発が(立地において)環境破壊、健康被害をもたらしていることもあわせてアピールすべき」「ミサイルが原発に数発落とされたらおしまい。その危険性を訴えよう」など、原発輸出ストップから再稼働阻止・原発ゼロへトータルに闘う方向性を強調する発言が続いた。
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