2019年02月22日 1564号

【座り込みを交通妨害罪で弾圧/住民はあきらめない/韓国ソソンリ サードは出ていけ】

 韓国星州ソソンリの米軍THAAD(サード)(高高度迎撃ミサイル)反対闘争は粘り強く続いている。連日の座り込みは旧正月2月4日に937日目を迎えた。韓国での旧正月連休中(2月4日から6日まで)も続けられ、水曜集会は第113回目をむかえた6日、約40人が集まった。

 THAAD配備は「北の脅威」を口実にしているが、昨年9月に南北で取り交わされた「軍事分野合意書」も確実に履行されており、その口実は失われている。昨年11月から軍事境界線上空では飛行禁止区域が設定され、境界線から5キロ以内での射撃訓練も中止された。非武装地帯(DMZ)内にある南北それぞれ警戒監視所11か所ずつ計22か所が破壊・撤収され、地雷撤去も進み、4月から南北共同での遺骨収集作業が始められる予定である。経済面でも、昨年12月に南北鉄道・道路連結事業着工式が板門店駅で開かれ、開城工業団地と金剛山観光の再開にむけて協議がされている。

 2回目の米朝首脳会談が決定し、朝鮮半島の非核化・朝鮮戦争の終結にむけた合意がさらに積み上げられるだろう。

 しかし一方で、米国は韓国に新しい兵器購入を要求し、韓国軍は海外展開能力とミサイル体制の強化をすすめている。今後5年間で軍事費を毎年平均7・5%増額する計画である。空中給油機とPAC3ミサイルの新規導入をすすめ、地上監視特殊偵察機J−STARSの購入も計画している。さらに、イスラエル製の早期警報レーダー「スーパー・グリーンパイン」(探知距離1千`b)も2基導入予定である。

 ソソンリで闘う人々は「南北軍事合意の精神に反する米国兵器の導入を直ちに中断せよ!」「北の核の口実は消えた。THAAD配置を撤回し、平和協定を締結せよ!」「韓半島のどこにもサード配置の最適地はない!」と訴えている。

事件をでっち上げ

 昨年11月3日、ソソンリのおばあさん達が喪服を着て大統領府前で座り込みをした。大統領府は面談に応じざるを得なくなり、「今年3〜4月の機材搬入については住民との同意の下で実施する」ことが確認されている。3〜4月の時期にはTHAAD敷地の追加工事が予定されている。まさにその機材搬入を許すのか否かの攻防が始まる。

 今、座り込みに参加した住民個人宛に、交通妨害の罪で300万〜600万ウォン(約30万〜60万円)もの高額の罰金が請求されている。一昨年11月の座り込み参加した活動家が公務執行妨害、侮辱罪などの容疑で逮捕され、昨年11月に高裁で「懲役6か月、執行猶予1年」の有罪判決が出された。実際は、住民の胸ぐらをつかんだ暴力的な警官を強い言葉で止めようとしただけであった。

 これは運動の萎縮を狙ったものであり、辺野古や高江での座り込み闘争に対する安倍政権のやり方と同じだ。しかし、ソソンリの住民たちはあきらめていない。映画「ソソンリ」上映をさらに広げ、平和を求める日韓市民の連帯を深めていこう。

(ZENKO兵庫・松谷卓人)
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