2019年03月01日 1565号

【徴用工問題は人権問題/大法院判決に従い、被害者の人権回復を/新日鉄住金・三菱重工・不二越に要請】

 「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」などは2月15日、日本企業が自らの過去と向き合い、元徴用工らへの賠償を命じた韓国司法の判決を履行するよう各企業本社に要請した。

 先立つ14日の院内集会の主催者あいさつで持橋多聞(たもん)さんは「目的は日韓の真の友好。私たちは韓国の原告、支援者と熱い信頼関係で結ばれている。これをしっかりと根付かせたい」と述べた。

 「徴用工問題の本質は人権問題。国家間でどんな合意をしようと、被害者が受け入れる内容でなければ解決にならない」と指摘するのは、川上詩朗弁護士。山本晴太弁護士は「日韓請求権協定で個人の請求権は消滅しない、というのは日本政府の初めからの見解。被害者の人権回復、植民地支配の反省の視点から解決をめざすべきだ」と訴えた。

 被害者・遺族が次々にマイクをとる。名古屋三菱・女子勤労挺身隊訴訟の呉哲錫(オチョルソク)さんは「近くて遠いといわれる韓日の間が今日最悪。もつれた糸をほぐす責任は、もつれさせた張本人にある」。広島三菱元徴用工被爆者訴訟の朴在勲(パクジェフン)さんは「大法院判決を受けて新たに裁判を起こそうという徴用工子孫が60〜70人いる」、同じく李圭梅(イギュメ)さんは「このようにたくさんの方が関心を持っておられることを初めて知った」と話した。

 光州(クヮンジュ)の「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」代表・李國彦(イググォン)さんは「犠牲者が一人もいなくなる日は遠くない。それが日本政府・企業の望むことなのか」と糾弾し、「朝米が肩を並べて平和に向かい、南北が東北アジアを世界で最も平和な地域にしようとしているとき、日本は何をしているのか」と問いかけた。

 15日は、労働争議の勝利をめざす東京総行動と合流し、新日鉄住金・三菱重工・不二越の各本社前で行動。新日鉄住金要請では、右翼が大音声で妨害したため原告代理人は裏口から本社ビル内へ。面会すら拒否する会社に要請書をつきつけ、「執行手続きをこれ以上延期できない。原告の年齢を考慮すればなおさら。差し押さえた株式の売却命令を申請する」と告げた。

 三菱重工に対しても「2月末までに誠意ある回答がない場合、強制執行手続きをとる用意がある」との通告書を手交。不二越本社にはソウル高裁など3件の賠償命令判決に従うよう求めたが、会社は要請団を屋外にとどめる不誠実な態度に終始した。

 一連の行動を終え、共同行動の矢野秀喜さんは「手をこまねいて待っていられない。被害者中心、被害者第一の立場で引き続き運動していく」とまとめた。

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