2019年03月08日 1566号

【3・1朝鮮独立運動100周年/日本の責任、日本からの応答】

 今年3月1日は、日本の植民地統治下のソウルで数千人の青年学生が「独立万歳」と叫んでデモ行進した日からちょうど100年。「3・1独立運動」は朝鮮半島全土に広がった。その闘いは世代を超えて受け継がれ、現在の韓国キャンドル革命の源流となる。

 日本でも、過去を直視し朝鮮半島の人びととの平和な関係を築く契機にしようと昨年6月、「3・1朝鮮独立運動100周年キャンペーン」が発足。2月24日都内で開いた集会で「植民地主義を清算せず、改憲・軍事大国化の道をひた走る安倍政治を一刻も早く終わらせることが、3・1運動100周年を迎える私たちのなすべき課題」とする「日本からの応答―民衆宣言」を採択した。

 集会では、キャンペーン呼びかけ人ら3人が「3・1独立運動100年に想うこと」のテーマで話した。

 外村(とのむら)大(まさる)・東大教授は「歴史学者の石母田(いしもだ)正は『朝鮮民族の圧迫を自分の問題として取り上げた日本人は少ない』とし、世界史的な視点から1917年のロシア革命、18年の米騒動、19年の3・1運動と(中国の)5・4運動を関連づけた。朝鮮で生まれ育った作家・梶山季之(としゆき)は小説『李朝残影』を発表し、朝鮮植民地支配の責任は日本人一人ひとりにあると考えていた」と紹介。「今日の日本社会の雰囲気はあまりにも違う。3・1運動は『反日運動』だとか、日本はそんなに悪くないとか語られている。自分と自分に連なる人びとの歴史の中で3・1運動をとらえ、民主主義や人権を求める普遍的な運動だったことを再認識する必要がある」と指摘する。

 「3月1日から1年間、『朝鮮人「慰安婦」の声をきく 日本の植民地支配責任を果たすために』というタイトルの特別展を開く」とアナウンスしたのは、アクティブミュージアム女たちの戦争と平和資料館(wam)館長の渡辺美奈さん。「北が45人、南が138人―『慰安婦』にされた女性たちのパネルを183枚作った。1910年から植民地支配が始まったと思っていたが、それは単に正当化の儀式をしただけ。日露戦争(1904〜05年)の頃にもたくさんの朝鮮人が殺されていた。そんなことを学び直す機会に、ぜひ一緒に参加してほしい」と訴えた。

 「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会共同代表の森本孝子さんは「韓国の方たちは朝鮮学校支援に熱心に取り組んでいる。『ウリハッキョ(私たちの学校)と子どもたちを守る市民の会』からはすでに11回、訪日団が来た」と報告し、「日本社会に蔓延する在日朝鮮人差別は個人のヘイトではない。元文科省高官・前川喜平さんは『朝鮮学校排除は官制ヘイト』と断言。ジャーナリスト中村一成(いるそん)さんの『朝鮮学校は植民地支配の生き証人』という言葉に共感する。日本の現代史の問題、人権の問題として奮闘したい」と決意を述べた。

 朝鮮高校生による朝鮮民謡『故郷の春』、沖縄の名曲『花』の合唱が会場を魅了。2月13〜16日実施のユース・スタディツアーに参加した若者たちからは「東北アジアの平和に向けて取り組む気持ちを新たにした」「被害者の証言と日本社会の現状とのギャップに苦しむが、できることを少しずつでも続けていく」といった感想が語られた。

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