2019年03月08日 1566号

【沖縄連帯と安倍への怒りを拡げたZENKO市民投票】

 沖縄県民投票と時を同じくして市民投票に取り組んだZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、2月24日午後8時から、全国150か所で実施した投票の結果を集計した。

 投票総数2万1916票。反対票は1万9353票、88%だった。投票を呼びかけたスタッフは、口々に反応の良さをあげる。票を投じる人の中に、安倍政権に対する怒りの言葉を添える人が多くいた。市民投票は沖縄連帯だけでなく、安倍政権に対する怒りを共有する機会でもあった。各地からの報告を紹介する。


沖縄 「最終盤に若者が頑張った」

 沖縄県民投票の全県実施を勝ちとった人々は、最終の投票結果を期待して、待った。政党、労組、島ぐるみ会議などで結成した「新基地建設反対県民投票連絡会」(共同代表稲嶺進ほか)の事務所で待機する人びとは、どことなく落ち着かない。期日前投票は20%を超えたが、投票日当時はあいにくの天候だった。午後8時投票終了。最終投票率が気にかかる。県民過半数の参加が得られたかどうか。午後9時前、50%を超えたとの知らせが届き拍手が起こる。成功を確信した。

 連絡会調整会議議長の照屋大河県会議員は反対票が投票資格者総数の25%29万票を超えた時点で、次のように訴えた。「沖縄県民の民意は示されました。政府がその民意を踏みにじり、工事を続けることは断じてあってはなりません。全国の皆さん、アメリカ国民の皆さん、世界の皆さん、今回の県民投票の民意を尊重するように共に行動に立ち上がって頂きますよう訴えます」。

 その場に参加したZENKO沖縄メンバーの一人は「投票当日はあいにく雨。正直、選挙とは違う不安があったが、投票率50%を超えた。目標だった知事選デニー票を大きく上回る反対43万は、この上ない喜び。特に今回、県民投票連絡会青年局が呼びかけ最終盤に糸満から辺野古まで『反対に〇』キャラバンを行うなど、若者自身が頑張った」とうれしさを隠さない。「安倍はそれでも辺野古反対の県民を踏みにじろうとしているが、世界から見たら通用しない。示された圧倒的民意に、今まで以上に自信を持ち、堂々と辺野古阻止へ立ち向かっていける」と確信を語る。


首都圏 この声を政府に届けるぞ

 東京・足立区の北千住駅西口では、最終日の投票を呼びかけ、集約行動に取り組んだ。約20人が参加した。

 簡易スクリーンに県民投票のプロモーションビデオを大きく映し出す。三線(サンシン)やギター、アコーディオン、縦笛で『月桃』『座り込めここへ』などを演奏し、場を盛り上げる若者たち。「沖縄県民は新基地建設反対の玉城デニー知事を誕生させた。政府は県民投票はどうあれ基地をつくるという。民主主義をないがしろにするな」と訴える。投票箱を胸に声を枯らして呼びかけると、自分から寄ってきて票を投じる人が相次いだ。

 結果は、千葉を加え投票総数1775票、うち反対1640票(92・4%)、賛成53票(3・0%)、どちらでもない76票(4・3%)、無効6(0・3%)となった。「この声を政府に届けるぞ」とシュプレヒコールし、行動を終えた。


地域で掘り起こした貴重な票

 横浜・鶴見駅東西自由通路の投票箱には最終日だけで持ち込み分も含めて555票が投じられた。通路両側に掲げられた「『普天間の代替』はウソ!」などのバナーに目を通し、投票用紙を手にする人も少なくない。

 神奈川県内の10日間の投票総数2338、うち反対2132(91・2%)となった。

 スタッフからは「『きれいな海を壊していいの』と会話がつくれ、小中高生にも大ぜい投票してもらった」「投票箱を置かせてくれた沖縄県人会の方は『すごくタイムリーな企画だったね』と話していた」「反対と分かっている人ではなく、反対かどうか分からない地域の人たちに働きかけて集めた貴重な票」「これは中間地点。みんなで目標に向かって進みたい」「考えないといけないと思い、参加できてよかった」と達成感あふれる感想が次々と出された。

 東西通路に立憲民主党の県議選予定候補が姿を見せたほか、開票には共産党の現職県議や神奈川第3区野党共闘を求める市民の会の代表も立ち会い、市民と野党の共闘を深める機会ともなった。


大阪 土日は22か所で一斉行動

 「平和と民主主義をともにつくる会・大阪」は、2月23、24の両日「辺野古埋め立て反対に○!市民投票@城東区」の行動に22か所で取り組んだ。

 スタッフは「辺野古の浜で無数のヤドカリを見つけました。自然が豊かで、命をずっと繋いでいます。私は、それを子ども達に見せたい。沖縄が戦争状態になるのなら、これは日本の問題です。止めることはできます。沖縄の県民投票の連帯行動にご協力ください!」と呼びかけた。

 奄美大島出身の女性は「子どもを連れて帰省したら、こんな綺麗な所にずっと住みたい、と言ってくれました。奄美も沖縄ですから…」、ハイキング帰りの男性は「今日は県民投票やな、頑張ってや!」と、応じていた。

 投票総数は1千782票に達し、反対が1千500票、賛成が101票、どちらでもないが166票、無効・白票が15票だった。


滋賀 街頭での対話に意味あり

 2月14日から開始した滋賀市民投票の開票とまとめの集会を24日に行いました。実際の選挙開票と同じしつらえで、開披台(かいひだい)と移送、投票区分(賛成、反対、どちらでもない、白票、無効、疑問)の台をもうけ、判定と集計をしました。

 投票総数は3532票、反対が3071票の86・9%を占めました。

 市民投票に取り組んだ草津市議会議員から「地盤も軟弱で基地は出来ないと説得してきた」との報告や「安倍政権への怒りや不満があることを感じることができた」と街頭や近所まわりをした実行委員からも報告がありました。また、「米朝が仲良くなってきているのに基地はいらない」と語る沖縄出身者の方の意見が共感を呼びました。

 目標の3千票を大きく超え、反対が約87%になったことが喜びです。対話を繰り返しながら票を獲得したことに意義があると確認し合いました。

 実行委員会は、滋賀市民の声として官邸、内閣府あてに結果を届けます。沖縄県知事には連帯メッセージとして報告していきます。

(辺野古米軍基地のための埋立ての是非を問う沖縄県民投票に連帯する滋賀市民投票実行委員 岩崎 晴彦(ZENKO滋賀))


北海道 「安倍を早くやめさせたい」

 北海道で2度目の街頭市民投票。2月24日14時ごろから50分間、函館本線岩見沢駅前で行った。風は冷たく強かったものの、冬の当地では珍しく晴天でプラス気温と好条件に恵まれた。「安倍首相を早く辞めさせないといけない」。新聞を見て来たという男性が準備を始めようと駅舎を出た私たちに歩み寄り、さっそく投票してくださった。新基地建設を決して沖縄だけの問題と捉えていない全国の気持ちを端的に代弁してくれていた。市内在住の原発訴訟原告の方も来てくださった。新聞を見て駆けつけてくださった方が7、8人。少ない通行人のなかにも投票して下さる方が4、5人いて、十数票を得た。全国の投票所では最も「地方」かつ「小都市」だったが、予想を上回る票を得た。

 2度の街頭投票の他、各メンバーが手をつくした。日韓連帯集会などに参加して下さった方からの返送も多数いただいた。投票総数は目標としていた100票ちょうどとなっていた。

 北海道からも、辺野古を自分たちの問題と捉えている気持ちを、この百票に込めて届けられたと思う。(ZENKO北海道 三浦一路)

広島 「ありがとう」と感謝の投票

 ZENKO・広島は2月23、24日の週末、街頭や集会で最後まで投票を訴えた。

 23日は野党共闘をめざす集会や街頭で道行く人に呼びかけた。期日前投票の期間中、定点投票所として場所を提供していただいたハチドリ舎の投票箱も深夜に回収した。

 24日、最後の呼びかけをした。高校入学が決まっている中学3年生や広島在住の外国人、観光で訪れたという方など、次々に投票。2時間で過去最高の54票が集まった。

 午後の集約集会。1月の日韓ユース参加団in沖縄に参加した学生メンバーが日韓青年が沖縄で交流した4日間を報告した後、参加者全員で開票。投票総数408票、その内397票が反対票だった。

 街頭では「この取り組みを具体化してくれてありがとう」と感謝の言葉さえかけられた。政権が進める民意無視の埋め立て強行に対して、何かしたいという本土の市民の強い思いをあちこちで感じることができた。この輪を確実に広げ、基地建設をあきらめさせるまで闘い続けたい。(ZENKO・広島 日南田成志)

 沖縄県民投票の翌日、「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」が呼びかけた首相官邸前行動に300人が結集。「沖縄民意ははっきりしたぞ」「辺野古の工事は中止しろ」と声をぶつけた。(2月25日)

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