2019年03月15日 1567号

【ひげ裁判から大阪メトロユニオン結成へ/維新政治に労働現場から反撃】

 大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の運転士が「ひげ」を理由に不当な扱いを受けたと訴えたいわゆる「ひげ禁止訴訟」。大阪地裁で勝利を手にした原告河野英司さんらが中心となって、労働組合を結成した。3月1日、大阪市内で「『大阪メトロユニオン』の結成と『ひげ禁止訴訟』大阪高裁勝利をめざす集い」が約30名の参加で行われた。

 大阪市営地下鉄が昨年4月に民営化され、できた会社が「大阪メトロ」。そこで働く労働者は、大阪市交通局職員から、大阪市高速電気軌道株式会社社員となった。河野さんは個人加盟の地域ユニオン「なかまユニオン」に加盟し、職場に労働組合の旗を立てた。大阪市交通局から大阪メトロへと変わったことで、現場での労働条件は日増しに悪化している。「労働者としての権利を守るために、私たちは立ち上がった」(結成宣言)

 大阪メトロの『2018〜2024年度 中期経営計画』には、大阪"維新"市政の、カジノ、万博、大阪「都」構想の3点セットと連動して、「夢洲」駅に55階建ての超高層駅ビル「夢洲タワービル」(仮称)を建設する計画(総工費1千億円超)が含まれている。

 全く実績がないにも拘わらず、「鉄道以外の新たな柱となる事業の創出」「公営企業から成長を追求する株式会社への変革」を掲げる経営方針はあまりに無謀だ。経営失敗のツケは、必ず大阪メトロの労働者と大阪市民へ回ってくる。

 ユニオン結成が急がれた理由でもある。ユニオンは、委員長である河野さんらの完全勝利を勝ちとるためにも、なくてはならない。

 「ひげ禁止訴訟」弁護団長の村田浩治弁護士が訴訟の状況を報告した。

 「地裁判決の評価ポイントは、(1)ひげを剃ることを拒んだため不当に低い人事評価を受けたことを認定したこと(2)大阪市に慰謝料44万円を求めたことの2点」。だが不充分なところもある。被告大阪市が控訴したことを受け「憲法(違反との)判断まで出させられなかった点を、こちらからの付帯控訴の審理の中で克服していきたい」と支援を訴えた。

 ひげ禁止裁判の闘いは、すでに成果を生んでいる。今年の2月から大阪メトロが行っている人事考課に変化が起こった。相対評価で必ずつくり出していた「5%の最低ランク」、係員・係長に関しては絶対評価制度に改められ、事実上なくなった。

 集いには、市民団体「大阪維新を許さない会」が結成を祝うケーキを用意、なかまユニオンの各支部からは連帯のメッセージが寄せられた。

 ひげ禁止裁判完全勝利をめざす闘いは、維新による生活破壊に対する闘いでもある。大阪メトロユニオンは、その反撃の拠点としての役割が期待される。大阪メトロ組合員による「団結ガンバロー」が力強く響いた。

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