2019年03月15日 1567号

【原発避難者から住宅を奪うな/相談・交渉・陳情 粘り強く続く】

 福島原発事故から8年、3月で区域外避難者への住宅支援策がすべて廃止されようとしている。2年前に災害救助法の適用をやめ住宅無償提供を打ち切った福島県だが、その後打ち出した民間賃貸住宅家賃補助、国家公務員宿舎の有償継続入居も「自立」の名のもとに終了する。

 3月1日都内で、トークイベント「原発事故避難者を追いつめる『自立』の強制〜住まいから見る事故8年目の現実」(主催―原発事故避難者から住まいを奪うな2019実行委員会)が開かれた。

 郡山から川崎に避難した避難の協同センター共同代表の松本徳子さんは「住まいの確保は避難の権利にとって最も基本的なこと。住宅政策がしっかりしていれば私たちはこんなふうになっていなかった。かろうじて生きている人にさえ、県や国は援助しない」と怒る。

 同センター事務局長の瀬戸大作さんは「8年経って『自立』できない人も出ている。行き場のないまま今の住宅を出てホームレス、ネットカフェを選ぶしかないという人。毎日のような追い出し電話等に耐えられず、一時しのぎに(経済力を超えた)民間住宅を契約した人。夫から『帰ってこなければ仕送りを止める』と迫られてうつ状態になった母子避難者も」と報告。「寄り添う」とは口先だけで、個別に行われる強引な追い出し対応が避難者を経済的精神的に追いつめている実態が問題とされた。同センターは、追い出し攻撃から避難者個々人を守る一方で、家賃補助や入居支援の継続を求めて粘り強く交渉を続ける。

 江東区には都内で最多の避難者が住む国家公務員宿舎がある。「原発事故避難者の住宅確保を支援する江東の会」は2月28日、住まいの確保に関する陳情書を都議会に提出した。都営住宅の世帯要件緩和など、希望者全員の公営住宅入居を求めたもの。陳情者の小林和博さんは「3月都議会での審議時間はないが、全議員に配布される。4月以降も行き場のない人が出てくるので、6月議会ではきっちり取り上げてもらう」と語った。
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