2019年03月15日 1567号

【国策だった機動隊沖縄派遣/住民訴訟で警察キャリア官僚が証言/東京地裁】

 2016年7月、沖縄・東村(ひがしそん)高江の米軍ヘリパッド建設を強行するため、全国6都府県から機動隊500人以上が投入され、抗議する人びとを暴力的に排除した。都税を使って警視庁警察官が沖縄に派遣され、違法行為を繰り返したことは公金の不正支出にあたるとして都民183人が起こした住民訴訟の証人尋問が2月27日、東京地裁で行われ、当時の沖縄県警の警備部門の責任者2人が証言台に立った。

 1人目、警備第2課次席だった喜納啓信氏の尋問では、県外からの機動隊派遣要請の検討が16年5月時点で始まっていたこと、それは「報道や沖縄防衛局とのやり取りで、工事が再開されると聞き、沖縄県警の体制だけでは警備は難しいと考えた」からであること、5月下旬から警察庁との間で各県の事情を踏まえた調整を行っていたことなどが明らかになった。

 2人目は、警備部長だった重久真毅氏。裁判所が被告に対し証人申請するよう求めたが被告側が拒否したため、原告側の申請により出廷した。警察庁のキャリア官僚で、同庁警備企画課課長補佐を経て在フランス日本大使館一等書記官を3年務め、高江大弾圧直前の16年6月に沖縄県警に赴任。その後、警察庁外事情報部国際テロリズム対策課理事官となり、現在は警視庁警備第1課長の職にある。

 原告側の主尋問に対し重久証人は「工事再開前から、トラックの前に寝そべるなどの妨害行為があった。辺野古は1か所だけだが、高江は40`の道のりを石を運ぶトラックが走り、どこでも妨害できる。工事する側、抗議する側双方の安全確保のため相当程度の人数が必要だった」と強弁。N1ゲート前のテント撤去の法的根拠についても「よく分かりませんね。撤去したのは沖縄防衛局。答える立場にない」としらばくれた。

 報告集会で高木一彦弁護士は「政府には、ケネディ米大使が離任する16年末までに貢ぎ物としてヘリパッドを何としても完成させなければならないという至上命題があった。となると、7月には工事を再開、そのためには圧倒的な警察力が必要―それが県外からの機動隊派遣の第一目標だったことを認める証言だった」と指摘した。

 また、喜納証人は被告代理人に「外国人や反差別勢力、極左暴力集団はいたか」と問われ、「いたと承知する」と回答。警察内に抗議参加者に対するヘイト感情が蔓延していたことをうかがわせた。

 次回(3/20)と次々回(4/24)は、チョウ類研究者や元土木技術者ら原告側申請の証人7人の尋問が行われる(いずれも14時から東京地裁103号法廷にて)。

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