2019年03月22日 1568号

【沖縄新基地は阻止できる/軟弱地盤に加え活断層/対策なし 安倍政権のアキレス腱】

 沖縄新基地建設海域に軟弱地盤に続いて活断層が存在することがクローズアップされている。圧倒的な反対を示した沖縄県民の意思に安倍政権を従わせるのか、暴走を許すのか。新基地建設反対の闘いは新たな段階に入った。

サンゴの危機も無視

 沖縄防衛局は3月7日、新たな護岸建設のために辺野古の海に砕石を投入した。新基地建設「反対」が圧倒した県民投票。その結果を玉城デニー沖縄県知事が安倍晋三首相に伝えたわずか3日後の3月4日には準備を始めていた。

 この工事は、辺野古崎から東に伸びる「K8護岸」を新たに設置するもの。3月25日から開始を狙っている新たな埋め立て区域への土砂投入のための準備だ。海上搬送している埋め立て用土砂の陸揚げ場所はK9護岸に限られている。新たな陸揚げ場にK8護岸を使おうというのだ。だが護岸を桟橋として使用することは当初の設計概要申請には書かれていない。県の承認のない違法工事である。

 K8護岸は、全長515b。その先には小型サンゴ分布域が存在する。保全措置をとらないまま着工した沖縄防衛局は、「50b手前までしか造成しないから問題ない」と強弁する。だが、この護岸が大きな遮蔽物となり、辺野古側と大浦湾側を行き来する海流が閉ざされることになる。サンゴを中心とした海洋生物を研究する東京経済大学の大久保奈弥(なみ)准教授は「海流の速度が低下するため小サンゴ群に致命的な影響が出る」と警告を発している。

 沖縄防衛局の乱暴な違法工事はまたも拡大していく。

地盤には活断層

 違法工事と合わせて、「活断層」が再び焦点化されている。活断層は政府の地質調査報告書にも存在の可能性が記されている。だが、政府は軟弱地盤同様、隠し続けている。

 今回、改めて「活断層の存在する可能性は高い」と地質研究者らが声を上げた。柏崎刈羽原発など原発下の活断層をいくつも暴いてきた立石雅昭新潟大学名誉教授(地質学)を代表とする「応用地質研究会」(大学、行政、コンサルタントなどの地質研究者の任意団体)の有志十数名による「辺野古活断層調査団」が、3月1日から現地に入った。本格的な調査は5月からの予定だが、3月4日までの調査で立石教授は「西側と東側で堆積物が異なっており、堆積物も40万年より新しいため、国の基準に照らすと活断層であることは明らか」と語った。

 原発の場合、敷地内に活断層があると建設はできない。しかし基地建設には活断層に関する基準はない。だが辺野古にはすでに弾薬庫があり、核兵器貯蔵の可能性さえある。立石教授は「危険性を感じる」と述べた(3/5NHK)。

 新基地の大浦湾側には、弾薬庫の機能のほか強襲揚陸艦や空母などが接岸できる軍港が計画されている。軟弱地盤とともに活断層の存在が明確になった以上、軍事基地でなくても大型構造物建設の「適地」であるはずがない。沖縄県の埋め立て承認撤回通知書には「埋め立てをしようとする場所は、『埋立地の用途に照らして適切な場所』に適合しない」(承認基準不適合)と指摘している。承認撤回が正しい判断だったことを示すものだ。この地での建設計画は、もはや虚構の上にしか成り立たない。

右往左往する答弁

 政府は辻褄合わせすらできなくなっている。ころころ変わる対応はあきれるばかりだ。

 当初、政府は軟弱地盤については語らなかった。むしろ軟弱地盤などないかのような口ぶりだった。しかし一変。軟弱地盤の存在を認めざるを得なくなると「一般的な改良工事70bで対応可」とごまかした。90bに及ぶ軟弱地盤の存在を指摘されると「先進的な技術で70b以下の深さでも工事は可能」と言い訳したかと思えば、「70bまでの地盤改良工事だけで十分」と言い直した。国会での追及に、「70bより下は地盤は固いので地盤改良の必要はない」と居直る始末。岩屋毅防衛相は「深いところは全体の数パーセント」と、事実まで捻じ曲げた。

 この政府の慌てぶりを見ると、軟弱地盤が安倍政権のアキレス腱だとわかる。大浦湾側では工事の展望がないにもかかわらず辺野古側の埋め立てを強行し続けるのは、安倍政権の自己制御能力が全く失われていることを示している。

全国から「民意に従え」

 政府のこうしたデタラメな態度をより多くの市民に伝え、広げなくてはならない。3月25日からの新たな工区への埋立てを阻止するため「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は、3月16日に那覇市新都心公園で「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り辺野古新基地建設断念を求める3・16県民大会」を開催する。新たな工区への土砂投入の前日、24日にも抗議の行動が取り組まれる。

 県民投票と同じように全国各地で、県民大会や抗議行動に連帯する取り組みが求められる。

 国・沖縄防衛局による違法工事の拡大を許しているのは国土交通相が、県の埋め立て承認撤回を執行停止にしたからだ。県はあらためてこの違法な国の関与を司法に問う。国土交通省・防衛省が行政不服審査法を悪用し、自治体の権限を奪うという暴挙を断罪しなければならない。

 軟弱地盤に活断層。新基地建設が思うように進まず、窮地に追い込まれているのが今の安倍政権だ。民意を踏みつけ強行する辺野古新基地建設の悪行を訴え、沖縄県民とともに怒りの声をあげよう。民意に従え、民主主義を守れ。全国から力を結集し、安倍政権を打倒しよう。

(N)

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS