2019年03月29日 1569号

【みるよむ(511) 2019年3月16日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの未来を築くのは若者だ】

 イラクは今、米国やイランなどの介入を受け、汚職だらけの政府の下で社会福祉も教育も崩壊状態だ。しかし、大きな展望がある。イラクの若者である。2019年1月、サナテレビは市民にインタビューを行い、若者に対するメッセージを語ってもらった。

憎悪と対立に抗して

 最初に登場する大学教員は「若者にイラクを託したい」と切り出す。より良い社会を築いていくために若者への期待が高ことがわかる。この教員は「自分の国を好きになるというのは、スローガンではなく、住んでいる人を好きになるという行動を意味する」と言う。「民族主義や宗派主義という塹壕(ざんごう)≠ゥら出て、イラクという社会に誠実であってほしい」と若者に訴える。政府とイスラム主義勢力、民族主義勢力が利権のために互いに憎悪と対立を煽ってきた状況を、若者の力で変えていこうと呼びかけている。

 とはいえ、厳しいイラクの状況で、本当に若者に期待できるのだろうか。

 もう一人の市民は「イラク社会では、若者は積極的な役割を果たしている」と断言する。「テロ組織からの諸都市の解放は、若者によって実行された。さらに、都市に戻った若者が市民団体やボランティアの活動に参加することによって町を再建した」

 この市民はジャーナリストだ。取材を通じて、こうした多くの若者の姿を見てきたに違いない。「若者は現実に即した行動をして社会に参加するし、十分なエネルギーを発揮して経験を得ることができる」と確信を持って語っている。

暴力反対の先頭に

 市民たちの言葉から、あまり伝えられていないイラクの若者の社会的な活動に展望を感じることができる。また、サナテレビは市民へのインタビューの形をとって、若者に対して「ともに社会を変えよう」と訴えているのだろう。

 イラクの若者は、大量失業や宗派主義勢力の支配に苦しんでいる。だが、生活改善要求やイスラム主義勢力の暴力に反対する闘いの先頭に立っているのは若者自身だ。サナテレビは、若者を信頼し、社会を変革し進歩させていく闘いに積極的に参加しようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

http://peacetv.jp/


 

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS