2019年03月29日 1569号

【再び国の責任認めず/千葉原発避難者訴訟2陣 不当判決】

 福島原発事故の避難指示区域外から千葉県に避難した6世帯19人が国と東京電力を訴えた訴訟(千葉訴訟第2陣)の判決が3月15日、千葉地裁で言い渡された。区域外避難者の避難の合理性を認めず、国の責任を免罪する恥知らずな不当判決だ。

 報告集会では、「千葉だけはまるで別な事故が起きていたかのような判決」(原発事故全国弁護団連絡会・米倉勉代表世話人)「戻って生活しなさいと命令したに等しい」(大阪市立大学・除本(よけもと)理史(まさふみ)教授)と糾弾の声が上がった。

 国の責任について、予見可能性はあっても新潟県中越沖地震(2007年)後は地震対策の優先度が高く「津波対策より地震対策を優先させた判断が不合理とはいえない」「地震に間に合うように防護措置を完成できたとはいえない」と、相次ぐ敗訴判決からの巻き返しを図った国の言い訳を全面的に支持した。

 損害賠償は請求総額のわずか2%、約509万円しか認めなかった。原告になっていない同一世帯員の既払い分まで差し引いている。超低額賠償の背景には、避難指示基準の年20ミリシーベルトに対する評価がある。「年間20ミリシーベルトを下回る被ばくが損害賠償責任を基礎づけるほどの健康上の被害を与えると認めることはできない」。区域外避難者はそもそも避難の必要性がないとの判断に立つ。原発労働者の白血病が年5ミリシーベルトの被ばくで労災認定されていることからも大きく外れている。福武公子弁護団長は「忖度としか解釈のしようがない判決」と厳しく批判した。

 原告の菅野貴浩さんは「思った以上の(悪い)結果だったので、がっかり。せめて国の責任は認めてほしかった。千葉ではもう無理なのかと思ってしまう。東海第二原発事故が起きたら、今度はみなさんが大変な目に遭う」と苛立ちをぶつけた。

 抗議声明が発せられ、最後は原告を支え控訴審を闘う決意を込めて「頑張ろう」と声を合わせた。
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