2019年04月05日 1570号

【自信に満ちた沖縄県民大会/対話解決拒否する安倍政権/県 国交相決定取り消しへ提訴】

若者らがアピール

 辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議が主催する「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める県民大会」が3月16日、那覇市の新都心公園で開催された。

 圧倒的大差で辺野古NO≠フ民意を示した県民投票から3週間。続々と会場に集まった市民は誰もが自信に満ち溢れている。なおも土砂投入を強行する安倍政権への怒りで、全身に気合が入っているようだ。

 冒頭の主催者あいさつは「オール沖縄会議」共同代表の稲嶺進前名護市長。「政府は普天間の危険性除去と言うが、約束した5年以内の閉鎖は2月で期限を迎えた。それが実行されていたら、このような集会を開かなくてもよかった」と安倍政権に対する激しい憤りをぶつけた。

 会場は昨年の知事選で「玉城デニーうまんちゅ大集会」を開いた同じ場所。ここからデニー旋風が吹き始めたのだ。玉城知事は下地島空港ターミナル完成式典に参列のため欠席となったが、謝花喜一郎副知事が知事のメッセージを代読した。県民投票の重要な意義にふれ、軟弱地盤の改良工事の長期化から普天間の危険性が固定化されることを指摘。日米両政府に沖縄県も加わった三者の話し合いで、普天間も辺野古も解決していく、との決意あふれるメッセージを力を込めて読み上げた。

 知事が就任してから初の県民大会。知事選で動いた若者たち3人が舞台にあがるのも、これまでの運営とは違う。

 北部ブロック代表の川崎将吾さんは「なぜ、おじい、おばあがゲート前で声を上げ続けているのか、誰のために行動しているのか、考えてほしい」と沖縄と本土の若者に呼びかけた。南部ブロック代表の瑞慶覧(ずけらん)長風さんは「この島のあるべき姿は、日本の植民地でなく、アメリカの軍事基地でもなく、アジアや世界との平和的交流の場だ」と訴え、辺野古新基地は絶対に造らせないと宣言。若者代表として登壇した吉居俊平さんは、昨年9月名護市議選で初当選したニューフェイス。「若い世代もあらゆる世代と手を取り合って、沖縄から米軍基地をなくしていくよう全力で取り組んでいく」と決意表明した。

 参加者は目標の1万人を超え、会場はテーマカラー「ブルー」一色に染まった。辺野古新基地建設断念の大会決議が採択され、参加者全員が赤色のメッセージボード「民意は示された」をまっすぐに突き上げた。

「異次元の工事」

 防衛省は3月15日、辺野古新基地建設をめぐる軟弱地盤に関する調査報告書を参院予算委員会に提出した。地盤改良にかかる工期は3年8か月を要するとされ、「2022年度」とされた普天間飛行場の返還期日が遅れることが確実となった。当初計画では埋め立て着工から基地完成まで計8年の予定だったが、この軟弱地盤の改良を加えると、少なくとも完成まで11年8か月かかる。報告書は、地盤沈下について、基地使用開始後20年間で約40aと予測していることも明らかにした。

 これを受け、地質工学専門の鎌尾彰司日本大准教授は「今回の最大施行深度は限界の70bとされており、これまでに実績はない。難度も上がり十分な地盤改良はできない。地盤改良をしない部分との圧密沈下が発生し、滑走路がゆがんだり護岸に段差が出てくるだろう。埋め立て土砂の他に地盤改良用に東京ドーム5個分の土砂が必要」と説明。「異次元のように感じる工事に思える」と語った。

ジュゴンの死も無視

 3月19日、玉城知事は、首相官邸で安倍首相と会談。辺野古新基地建設工事で25日から予定している新たな第2工区への土砂投入を中止するよう求めた。さらに、工事を中断し約1か月間、沖縄県と政府が協議する場を設けるように要請した。

 玉城知事は、2月の県民投票や1万人が集まった県民大会に言及。新たな工区への土砂投入は「ますます県民からの反発が膨らむのではないか」と指摘した。さらに国の天然記念物ジュゴン1頭の死骸が沖縄本島北部で発見されたことについてふれ、「土砂投入をやめて話し合いの時間をつくってほしい」と要請した。だが、安倍首相は工事を続行する意向を示し、知事の提案には応じなかった。

 民主主義のルールにのっとり法的に確定された県民投票結果をもとに話し合いの場を設けてほしいという沖縄県の当たり前の要請に、ゼロ回答を繰り返す安倍政権。

 政府の対応を受け、県は3月22日、埋め立て承認撤回の執行停止を決定した国土交通相の判断は違法として取り消しを求め、福岡高裁那覇支部に提訴した。    (N)



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