2019年04月05日 1570号

【元国立市長上原公子さんを招き/平和と市民自治を考えるつどい・大津/「とことん憲法を生かす市政に」と中川てつやさん】

 安倍政権の軍拡、市民生活破壊路線をストップさせる力となるのが今回の地方選での勝利だ。大津市では市議会議員選挙(定員38人)が4月14日告示、21日投開票で行われる。市民派議員を議会に送ろうと奮闘する「平和と市民自治のまち大津をともにつくる会」(中川てつや代表)が市議選に向けて「平和と市民自治を考えるつどいパート2」を3月21日に開催した。

 つどいでは、「安倍政権は自らの路線がもたらした生活破壊が選挙結果に結びつき敗北することを恐れている。すべての地方選に勝利し、安倍退陣を」と大津市議選勝利の意味を確認しあいました。

支所削減にストップを

 大津市では、現在36ある支所を5年後に11にする削減案が示されています。「平和と市民自治のまち大津をともにつくる会」は、支所削減反対の署名協力を訴え約7千軒に電話をかけ、148人の協力が得られました。大津市議選を前に政策課題を広げる努力が実を結んでいることが報告されました。

 今回、市民派議員として大津市議選に初挑戦する中川てつやさんは、支所削減の背景について「政府の歳出削減を目的に自治体公共施設の統廃合を全国的に推進する『公共施設等総合管理計画』がある。政府は、職員削減や公共施設の統廃合、業務丸ごとの民間委託、民営化を進める自治体には(地方交付税による)財政支援を行い、不熱心な自治体は削減する。国家への自治体の従属・統制が進められている」と指摘し、「大津市の周辺部を切り捨て、中心部に都市機能を集中、行政効率と安上がり自治体をめざすもの」とその狙いを暴きました。

 「支所削減問題は市民生活を支援する立場に立つのか、市民のニーズ無視で小さな政府、小さな自治体にしていくのか、地域の将来像をどの立場で描くのかという問題」。その他にも水道民営化、公立保育園の民営化など、なんでも民営化にまい進する大津市政を「公的責任の放棄」と批判しました。

政府と闘う覚悟で

 元東京・国立市長の上原公子(ひろこ)さんは「とことん憲法いかす大津市政に」を掲げる中川さんの政策を裏付けるように、憲法の基本的人権を実現する市民自治について講演。題して「市民自治力がまちをしあわせにする」。

 基本的人権とは「私らしく生きる権利」。どんなにIT社会になろうと、どんなに効率化してもface to faceで、人として向き合う心をもたないと、一人ひとりを大切にする行政はできない。どういうまちにしたいか、どういうまちに住みたいか、自ら決定していく権利が市民にあり、それを自覚し実行する。お年寄りも子どもも声を上げられないまちにしてはならない。それには、政府と闘う覚悟がないとできない―。

 個人の尊重と公共の福祉を記した憲法13条をあげ、「市長時代、国立市の重度障害者の居住率は人口比率全国1位であった。彼らはここなら自立できると思って移住してきた。ある不動産屋さんに話を聞くと『みんな平等、住めるよ』。この言葉に感動した」と政策の具体化が結果に結びつくことを紹介。

 生存権及び社会保障などの向上に努める国の義務を記した25条では「人を見殺しにしない。人として市民と向き合う行政でなければならない」と強調されました。

 「憲法99条に基づき市の職員は憲法を尊重し擁護するという宣誓をします。市民の幸せのために、採算と関係なくサービスを提供するのが福祉であり行政の仕事です。そして一人一人に向きあうために支所がある。支所がなくなることは身近な暮らしの声が届かなくなることです。行政は一人ひとりの幸せのため働かなければならない。『存在を認められていない』と感じる人をつくってはならない」

市民派議員が必要

 「とことん憲法いかす大津市政に」を基本政策に掲げる中川さんは(1)支所を減らさず、市民生活を守る(2)命の水の水道や保育園等、なんでも民営化反対、公的責任を守る(3)市民目線での議会改革を進める−議員特権の政務活動費の廃止、議員報酬を削減し市民生活に回すなど−(4)生活と地方自治をこわす憲法改悪反対(5)原発廃炉を具体的政策としている。

 中川さんの持論は「市民派議員とは、権力や資本の側に立つのではなく、市民の立場に立ち市民の要求を政治に反映させ、既成政党のしがらみや長年の大会派有利・市民不在の議会の慣行を打破し、議会を変革していく議員である」。上原さんの講演から「とことん憲法生かす市政」をめざす中川さんを市議会に送り出す意義を参加者全員で確認することができました。

平和と市民自治のまち大津をともにつくる会  会員I



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