2019年04月12日 1571号

【福島県が住宅支援打ち切り強行 避難者追い出しに抗議の緊急行動】

 福島県は3月28日、国家公務員宿舎に住む区域外避難者への支援打ち切りを強行した。同日付で、「退去に向けた手続き」をとるよう促し、31日までに退去しない場合「損害金を請求する」との通知を送付。生活保護受給(予定)者と公営住宅や民間賃貸住宅に入居が決まっている者は引っ越しまでの間、年度内に限って認めるので4月10日までに書類を整えて提出せよ、その他の者の継続入居は一切認めないという通告だ。

 ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)と全国避難者の会、避難の協同センターなどは再三にわたり家賃補助・継続入居を求めて県と交渉を重ねてきた。公営住宅への応募資格すらない世帯、都会の高い民間家賃を支払えない世帯、精神疾患を発症して定職に就けない世帯など避難者の窮状を訴え、”一人も路頭に迷わせない”立場で話し合ってきたが、交渉経過を無視して突然の強硬手段に出た。

 3月30日都内で開かれた「さようなら原発講演会」でも区域外避難者の住宅追い出しが問題にされた。横浜に避難中の村田弘さん(ひだんれん幹事)は「話し合いの中途で暴挙に出た。オリンピックまでに被害者を消そうとしている」と唇を震わせる。東京に避難した熊本美彌子さんは「3月で約2000世帯の民間家賃補助月2万円も終了する。契約更改の時期と重なって経済負担がのしかかり、心配だ。行政は被害者を救うのではなく追い詰めるのか」と訴えた。主催者代表の鎌田慧さんは「これは大きな問題だ。(東京新聞の)コラムに載せて批判する」と語る。

 4月1日には、国家公務員宿舎で最も多くの避難者が住む東京・江東区の東雲(しののめ)住宅付近で、避難の協同センターや「原発事故避難者の住宅確保を支援する江東の会」などによる抗議のビラまきが行われた。ひだんれんと避難の協同センターは今後、居住し続ける当事者を守る取り組み、県当局への抗議声明、記者会見など撤回に向けた行動を計画する。全国からの励ましと連帯行動が問われている。

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