2019年04月26日 1573号

【辺野古・宮古島新基地ノー 陸自弾薬庫隠しに怒る住民 衆院沖縄3区補選 絶対に負けない】

弾薬庫は作らせない

 「住民に嘘をつくな」「ミサイル基地いらない」。4月7日、宮古空港に到着した岩屋毅防衛相は抗議のシュプレヒコールに包囲された。

 3月26日、陸上自衛隊宮古島警備部隊が発足したが、駐屯地内に「弾薬庫」が設置されすでにミサイルが搬入されていたことがわかった。住民説明会で防衛省は、敷地内にはミサイルは配備しないと説明。配布した資料にも弾薬庫の存在は記されてなかった。「保管庫」と小さく書かれていた場所に弾薬庫が建設され、中距離多目的誘導弾=ミサイルや迫撃砲弾なども搬入されていた。住民に嘘をつき、隠れて弾薬庫を作っていたのだ。

 岩屋防衛相は、陸自の隊旗授与式の後、「弾薬は島外に搬出した。これからはよりわかりやすい丁寧な説明をしていきたい」と語ったが、島民への謝罪はなかった。

 「ミサイル基地いらない住民連絡会」共同代表の仲里成繁(なかざとせいはん)さんは憤る。「丁寧な説明と言っても今まで質問に一切応えてくれなかった。防衛省の言うことに信用などできない」。仲里さんは、駐屯地正面ゲートのすぐ前の農場で40年近くメロン栽培をやってきた。「目の前に自衛隊でしょう。すっかり変わってしまった。保良(ぼら)弾薬庫は絶対作らせない」ときっぱり。

 隊旗授与式パレードが基地内で行われたが、住民の抗議の声に大臣訓示はかき消された。ミサイルは最新鋭の武器。持ち込まれれば、そこが攻撃の目標となる。戦争の最初の標的になりたくない。部隊は駐屯したが、防衛省の嘘によって反対運動は再び広がる。保良区の七又(ななまた)部落会は、弾薬庫絶対反対の決議をあげた。

撤回取り消しの無法

 石井啓一国土交通相は4月5日、沖縄県による辺野古の埋め立て承認撤回を取り消す裁決を行った。沖縄防衛局が県の撤回処分を不服として申し立てていた審査請求で「撤回は違法」と結論付けた。またも政府部内での内輪の裁決。でたらめにはあきれ果てる。

 沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは「軟弱地盤の問題があるにもかかわらず、『工事は可能』と政府は主張を繰り返しているだけで、検証もせず、審査もされていない。政府による自作自演だ」と切り捨てた。「県による新たな撤回が課題となる」と、沖縄県の次なる対応を求めた。

 辺野古ゲート前では、石井国交相の取り消し裁決の報が入るや抗議の声があがった。「屈辱的だ」「許せない」。また、埋め立て撤回に対する国交相による執行停止決定に対し3月県が取り消しを求めた訴訟弁護団の白充(ぺくちゅん)弁護士は「身内に有利な判断だ」と国の対応を批判した。

 冷たい雨が降る中、次々と砕石や資材を搬入する工事車両に「土砂投入をやめろ」「民意を守れ」と約30人の市民が新基地建設反対を訴えた。

 国交相裁決に対して県は、総務省「国地方係争処理委員会」への申し出を検討している。国地方係争処理委は「第三者機関」といっても同じ政府部内にすぎず、結果は明らかだ。無法追認を許さない強力な世論と運動が必要だ。

 不当な裁決は行われたが、沖縄防衛局は今後、大浦湾側の地盤改良工事のための設計変更申請に入らざるを得ない。この変更申請をきっぱりと却下し、変更は認めない、工事は中止しろ、と今度は県が国に突きつける番だ。

辺野古是非が争点

 4月9日、衆院沖縄3区補欠選挙が告示された。21日投開票だ。自民党公認で元沖縄担当相の島売りアイコ≠アと島尻安伊子候補と、無所属でオール沖縄が支援するフリージャーナリストの屋良朝博さんの一騎打ちとなった。

 島尻は「普天間の危険性除去のため辺野古移設はやむを得ない」と賛成を明言し、辺野古争点がさらにはっきりした。県民投票からわずか2か月。再び辺野古を争点とした闘いが始まっている。

 昨年の名護市長選のような敗北は許されない。もし仮に名護市辺野古を含む沖縄3区を安倍自民党に奪われてしまうと、民意は辺野古反対だけではない≠ニ県内の新基地推進派が再度息を吹き返すからだ。夏の参院選にも影響を及ぼす。前回3年前は、伊波洋一現参院議員が当選し、島尻を引きずり下ろした。安倍の執ような巻き返しを封じ込めなければならない。

 さらに安倍自民がターゲットに狙うのは、来年の県議選だ。県議会で多数をとり、政府に抵抗する玉城デニー知事を徹底的に妨害することを狙っている。衆院3区補選は絶対負けられない闘いだ。(N)



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