2019年05月24日 1576号

【韓国済州島 海軍基地撤去、第2空港反対 韓国軍の海外出撃拠点化と闘う】

 6月1〜9日、全国6会場で行われる「東アジアに平和を!武力なき平和のための2019ZENKOスピーキングツアー」に韓国・済州(チェジュ)島のノ・ミンギュさんが参加し、基地撤去の闘いを報告する。美しい自然の世界遺産で知られる済州で何が起きているのか。

 2016年2月、済州島南部にある江汀(カンジョン)村に67f(東京ドーム14個分)に及ぶ大規模な海軍基地が建設された。「民軍共有港」の名の下に、住民の強い反対を暴力的に抑え込み、貴重な自然を破壊して造られたのである。

 この海軍基地は、中国に対して軍事的優位をはかる日米韓軍事体制を強化するもの。同時に、今後5年間に27兆円(日本の「中期防衛力整備計画」5年分とほぼ同額)という巨額の軍事費を投入する韓国軍は、本格的な外洋艦隊となる戦略機動艦隊の出撃拠点とすることを狙っている。

 2018年8月、韓国海軍は独島(トクト)級揚陸艦「馬羅島(マラド)」にステルス戦闘機F35Bの搭載を検討していると発表した。韓国軍はすでにF35Aを40機米国に発注しており、今春に最初の2機が引き渡された。同年5月に進水、垂直離着陸機オスプレイの離着艦もできる「馬羅島」は、「排水量1万4000トン、全長199b、幅31b、最高速度23ノットで、1000名の兵士と戦車、装甲車などを輸送でき、20年には就役する見込みで、F35Bを搭載すれば、韓国軍の海空作戦半径は大幅に広がる」と報道されている。

 まるで海上自衛隊の空母「いずも」の甲板を改造してF35Bを搭載し、海外での軍事侵攻能力を大幅に高めようとしている安倍政権そっくりだ。文在寅(ムンジェイン)政権はこのような艦船の出撃拠点として済州島海軍基地を使用したいのだ。

反対の声上げる市民

 しかし、こうした戦争策動に反対して韓国市民は闘いを続けている。

 昨年10月14〜15日、済州海軍基地で文大統領の出席のもと、国際観艦式が開催された。ここには米国の原子力空母「ロナルド・レーガン」をはじめ、オーストラリア、インドネシア、ロシアなど十数か国の軍艦が集結し、43隻もの韓国海軍艦艇が海上パレードを展開した。

 観艦式を控えた9月27日、江汀村海軍基地反対住民会は、「旭日旗を掲揚した日本の自衛隊艦艇と米国の原子力空母、原子力潜水艦が入ってくる国際観艦式は、済州島の軍事基地化に向けた出発点であり、民軍複合型観光美港の海軍基地への転用を公認するもの」と決議し、開催に反対する声を上げた。

 10月2日には釜山(プサン)で「積弊清算・社会大改革のための釜山運動本部」の強制徴用労働者像建設特別委員会が「戦争犯罪の象徴である旭日旗を掲揚した日本艦艇の国際観艦式への参加を糾弾する。市民が立ち上がって日本艦艇の入港を阻止する」と声明を出し、日本総領事館前で抗議した。

 観艦式当日には、江汀村海軍基地反対住民会と民主労組など市民社会団体で構成された「2018国際観艦式反対平和の島済州を守る共同の行動」の住民と活動家約200人が基地正門の前で集会を開いた。カヤックに乗った海上デモも展開された。

 結局、自衛艦は観艦式への参加を断念し、米軍の核空母は入港を1日遅らさざるを得なかった。

軍事利用もくろむ空港建設

 現在済州島では、済州第2空港の建設が進められようとしている。この空港は、空母搭載機などが利用する軍事利用の狙いがあるとされ、すでに住民は座り込み行動など抗議行動を開始している。

 済州島の基地反対闘争は、日米韓の軍事同盟を強化し海外派兵を進める拠点にしようとするグローバル資本の戦争政策に立ち向かう闘いだ。日韓市民の国際連帯を強め、共に基地撤去の闘いを進めよう。





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