2019年05月31日 1577号

【みるよむ(519)2019年5月11日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの国有財産を市民の手に取り戻そう】

 イラクでは今、政党やイスラム政治勢力の私兵が国有財産を勝手に奪い取る事態が起きている。公有地の利用にも支障が出ている。アブドルマハディ政権は対策を取っているとしているが、実際はどうだろうか。2019年3月、サナテレビは市民にインタビューを行った。

バグダッドは窒息状態

 ある民間技術者は「国有地の一部に私立の学校が建てられ、それ以外の残りの広いところは閉鎖されて使えない」という実態を暴く。さらに「バグダッドは窒息状態だ」と語る。国有地についてこれほどひどい使い方をしているのに、何も言えず、市民のための活用が全くできていないからだ。

 では、どうすれば国有財産の私物化や横取りを防ぐことができるのか。この民間技術者は「法律を最優先にしなければならない」と答える。

 一方、アブドルマハディ首相は、腐敗との闘いを始めたという。行政命令を尊重しろ≠ニ看板を立て、農地や許可がない土地の建設を防ぐ、国有財産を取り戻すとも言う。だが、そうした命令はさっぱり守られていない。

 最後に登場する市民は「国有財産や、フセイン政権時代の政権にいた人物の財産などを、政党や有力者などが奪い合ってている」と批判する。公的な財産が、国会議員、有力政治家とその背後のグローバル資本の利益のために食い物にされている。こうした不正は日常茶飯事のように行われている。

政府自身が強盗だ

 この市民は「事態は、全世界の人びとの目の前で行われている白昼公然の強盗だ。政府は国有財産を国家に取り戻さなければなりません」と主張する。

 公的財産の略奪を禁止する法律があるにもかかわらず、適用されない。国有地など国有財産の強奪が続いても、政府は何の有効な対策もとらない。市民は「それは、政府自身が強盗をやっているから」と指摘する。政府の幹部や国会議員も利権強奪争いに参加しているのである。

 サナテレビは、この実態を暴き、市民の力で不正と利権強奪をやめさせようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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