2019年07月19日 1584号

【参院選勝利で政治を変える (6)女性差別 高齢女性の貧困率は44% 女性たちに人間らしい働き方を】

何が「女性活躍」か

 「働き方改革」「女性の活躍」を謳(うた)ってきた安倍政権。今回の参議院選挙では、安倍政治のもとで、女性たちは人間らしい働き方ができるのかが問われる。

 安倍首相はテレビの党首討論(7/3「報道ステーション」)で「この5年間で280万人の女性が働き始めた。(男女の)賃金格差も今までで一番少なくなっている」とのべ、女性の働き方がよくなったかのような印象を与えた。

 実際はどうか。280万人のうち、約200万人以上がパートやアルバイトなどの非正規労働者だ。男女の賃金格差は、やや改善したとはいえ、男性を100とすれば女性は73。非正規雇用で働く女性の割合が女性労働者の56%であることが、賃金格差の原因になっている。

 男性の非正規労働者もこの5年間に約100万人増えてはいるが、正規で働いて退職した後に非正規で働いている高齢者が増えている。一方女性は、ずっと非正規で働いている人が多い。女性の低賃金は、高齢者の貧困につながる。高齢者で1人暮らしの女性の貧困率は、44・4%にも上る。

 男女の賃金格差を国際比較でみると、OECD(経済開発協力機構)加盟国34か国中、韓国に次いでワースト2位の73(男性=100)、加盟国平均87から大きく離れている。

 数字を見ただけでも「女性の活躍」は、安倍政権のもとで少しも進んでいない。

メトロレディーのたたかい

 では、非正規で働く女性たち、とりわけ「シニア」と言われる女性たちの実態を見ててみよう。

 7月2日、OPEN(平和と平等を拓く女たちの絆)は、大阪市内でドキュメンタリー『メトロレディーブルース』の上映会を行った。この映像は、東京メトロで働いていた契約社員の女性たちの5年間のたたかいのドキュメントだ。

 契約社員は、正社員とまったく同じ仕事をしていても賃金は約半分、昇給も手当も退職金もない。10年間働いて約1000万円の差がでてくる。65歳の定年後も働き続けなければ生活できない。現在、女性たちは正社員との格差の是正、同一労働同一賃金を求めて、裁判でたたかっている。非正規への不合理な差別を認めた不当な判決に対して、原告の後呂(うしろ)良子さんは「命がけで提訴した。お金じゃなくて、労働者の尊厳を踏みにじられたことへのたたかいだ。自分の尊厳を取り戻したい」と語っている。

 上映会に参加したAさんも「メトロレディー」たちと同世代の66歳、自分の働き方と重なってくる。今は、診療所でパートで働く看護師。仕事は週3日で10・5時間、賃金は月5万5千円くらい。70歳くらいまでは働きたいと思っている。職場は正職員は1人だけで、10人のスタッフは全員パート。最近医療施設は経営が苦しくなって、どんどん正職員を減らしてパートで補っているとのこと。「老後の生活のために2000万円貯めるなんて無理」「死ぬまで働けということ!」と、安倍政権への怒りをぶつけた。

 ここから安倍政権が進めている女性や高齢者を有用な資源として、企業の『成長』に効率よく吸い上げて行く装置としての『活躍』政策≠ェ見えてくる。

非正規の声を 女性の声を

 今回の参議院選挙で、非正規で働く女性や高齢者の声を国会に届けよう。社民党比例代表・大椿ゆうこさんは、非正規労働者として雇い止め解雇にあったことを原点に「労働者の使い捨てを許さない」と訴える。

 非正規労働者が尊厳ある働き方ができる社会を作ろう。非正規と正規の待遇改善、同一価値労働同一賃金、全国一律最低賃金1500円を実現し、ジェンダー平等の社会をめざす女性議員を増やそう。

(OPEN・山本よし子)

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