2019年09月20日 1592号

【JR日高線を守る会など 7団体共同で緊急集会 長大路線のバス転換阻止を決議 北海道・札幌】

 JR北海道が全路線距離の約半分にあたる10路線13線区を維持困難と公表して間もなく3年。情勢が最も緊迫している日高本線のバス転換を阻止するため、9月3日、札幌で集会が開催された。緊急の呼びかけにもかかわらず100人の会場が埋まった。

 JR日高線を守る会の真壁悦夫代表幹事が「バス運転手の不足が言われている中で、バス転換ありきの議論はあり得ない。路線維持を求め最後まで闘い抜く」とあいさつ。昨年5月、全道署名に取り組んだ「北海道の鉄道の再生と地域の発展をめざす全道連絡会」の母体でもあるJR北海道研究会からは小田清・北海学園大名誉教授が「鉄道はどこでも平等なサービスが必要。地方が育たなければ札幌もダメになる」と鉄道存続だけでなく地方を豊かにする政策が必要だと訴えた。

 JR日高線を守る会会員でもある地脇聖孝・安全問題研究会代表は「沿線自治体協議会も町村会やJRとの協議の場もすべて非公開。住民はおろか地元議員すら会場に入れないという密室状態で行われている。死につつある日高の民主主義をこの闘いを通じて取り戻したい」と決意表明。「新幹線開業時の並行在来線第三セクター化の際も沿線のすべての自治体首長が同意書に押印している。1つでも押印しない自治体がある場合、地元同意とはならないと考えるべきだ」として、この間、一貫して全線復旧を求めている池田拓(ひらく)・浦河町長を支えるよう訴えた。

 日高本線と同様、災害で一部区間が不通となったまま放置されている根室本線からは「根室本線の災害復旧と存続を求める会」平良則代表のメッセージが披露。「こうした事態を予測できたにもかかわらず、国鉄を強引に分割・民営化した国の責任は免れることはできません」と国鉄分割民営化を強く批判する内容となったのが特徴だ。

オール北海道で

 今回の集会は、道内で路線存続を求める7団体(北の鉄路存続を求める会/JR北海道研究会/JR日高線を守る会/根室本線の災害復旧と存続を求める会/札沼(さっしょう)線存続を求める当別の会/JR問題を考える苫小牧の会/函館本線・山線の存続を求める住民の会)が初めて共同で呼びかけたことが特徴だ。廃線ありきの議論が進む4線区(日高本線、根室本線、札沼線、留萌本線)を支えようと、オール北海道の態勢で取り組まれたことに大きな意義がある。

 日高本線をめぐっては、沿線7町の間で(1)全線復旧(2)一部区間(鵡川<むかわ>〜日高門別)を先行して運転再開(3)不通区間(鵡川〜様似<さまに>)の全線バス転換の3案が出されており、9月24日の日高町村会(会長・坂下一幸様似町長)で1案に絞り込む意向が示されている。町村会の意向が(3)にあることは明らかだ。

 緊急集会では沿線7町に対する緊急FAX行動が呼びかけられた。道民のみならず全国の市民がこたえる時だ。

◆激励FAX宛先 0146-22-1240(浦河町)

◆要請・抗議FAX宛先 0146-36-2662(様似町)

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