2019年10月04日 1594号

【DVD紹介/ドローンの眼/製作・著作 沖縄ドローンプロジェクト 森の映画社/一目で分かる違法な基地工事】

 「皆さんの家の中に勝手に飛ばして、中撮って、法的根拠あるんですかって(おかしいでしょ)」。2019年7月、畑でドローン(小型無人機)を飛ばしたメンバーに自衛官が詰めよる。法律で規制ができないとわかっても「中(基地)を撮ったところは削除して」と続けた。人権であるプライバシーをもちだし、公的施設の「秘密」を守ろうとする自衛官。余程知られては困ることがあるのだ。

 作品第2部の冒頭、陸上自衛隊宮古島駐屯地のドローン撮影を妨害するシーン。今何が起きようとしているのか象徴している。

 政府はドローン飛行禁止法を改定し、飛行禁止区域を防衛大臣が指定できるようにした。自衛隊・米軍の施設が対象となる。6月13日の改定法施行時に指定されたのは市ケ谷の防衛省など13か所。辺野古、宮古島などは入っていない。だが今後、順次拡大するつもりだ。かつて軍施設への接近を禁じた「要塞地帯法」(1911年施行)があった。ドローン規制法はその現代版だ。

 市民に知られては困る最たるものが基地建設の実態。辺野古では違法・不正工事が繰り返されている。例えば、埋め立て土砂による汚濁。汚濁防止膜は手抜きされ、何の役にも立っていなかった。濁り水が漏れている様子を「ドローンの眼」は見逃さなかった。

 防衛省との交渉シーン。証拠写真を突き付けられた防衛省職員の困惑ぶりを見てほしい。事前に用意された答弁メモを読み上げる以外に言葉はない。

 宮古島に建設中のミサイル基地では「保管庫」と偽って「弾薬庫」が建設された。市民をだまして進められる悪事を「ドローンの眼」は暴いていく。

 この作品には沖縄島の15%を占める米軍基地や奄美大島・宮古島・石垣島・与那国島に建設されている自衛隊基地の全貌をとらえている。沖縄に基地が集中していることは知られているが、「ドローンの眼」を通してみると、その巨大さ・異様さを改めて実感できる。

 作品は最後に「琉球弧の小さな島々で闘う人びと」を映し出し、「東アジアを再び戦場にしない大きな闘いにつながっている」とむすんでいる。

 「ドローンの眼」から見る海の色は息をのむほど美しい。基地建設阻止の運動を広げ、沖縄との連帯を強めるうえで、忘れてはいけないと改めて思う。(T)

  *  *  *

・定価1万円(学習会・上映会に使用可)/第一部28分 第二部40分/申し込みは、FAX011-351-1068 もしくはokinawa.dorone.project@gmail.com 





 
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS