2019年10月11日 1595号

【私たちが「自治」するあだちへ ソウル市青年政策に学ぶつどい 青年が集い、つながり、自ら創り出す 東京・足立区】

 9月22日、東京・足立区で開かれた「私たちが『自治』するあだちへ ソウル市青年政策に学ぶつどい」。ソウル青年政策ネットワーク共同運営委員長ムン・ジヘさんが「われわれが望むソウル市を決定します」、土屋のりこ区議が「若者の自立を支える足立区」と題して報告した。どのような論議と交流となったか。

 「すごく感動した。日韓関係の悪い中、招待ありがとう」ムン・ジヘさんは日程を終え満面の笑顔を見せた。「一番印象的だったのは青年以外も青年政策に関心をもち、法や制度を作っていこうとしている点で、ソウルではないこと。世代間の対立を克服できるヒントになった」と交流を振り返る。「日本に来る前は偏見もあったが、私たちのことに関心をもち一緒に悩んでくれる人たちが日本にこんなにいるのだと初めて知れた。友人たちもこの経験に驚いている。韓国でも交流を広げたい」

我々が望むソウルを決定

 つどいでは、青年自治がソウル市で進められてきた過程とその青年政策が紹介された。

 2013年ソウル青年政策ネットワークが作られた。打ち上げ花火≠ノならないようにと、翌年ソウル市青年基本条例を制定。16年にはソウル青年議会が初開催され、青年が打ち出した「青年手当」事業が市により実現された。「既成の人たちは特定少数の意見しか反映してくれなかったが、問題の多い未熟な青年たちが権限を付与された。閉ざされていた市政が青年に開かれ、期待に胸を膨らませた瞬間だった」

 日本でも青年が問題提起をすることはあるが、首長が答弁し、行政が事業として採用することは稀有だ。

 青年たちが気軽に集え、語れる場づくりが重要だと「青年無重力地帯」というスペース作りがソウル市内全区へ拡大されている。学歴や職業、様々な社会的圧力が強い中でも、「無重力地帯」に来れば悩み事を語り合え、活動でき、軽スポーツをしたり、寝転がったりもできる。そんな、青年が解放される空間だ。「自分の抱える悩みは社会構造の問題であるという気づきが大事。個々人の抱える問題を解決できる方法があるんだと語りあうことで気がつける」

50億円予算編成権を獲得

 会場から多くの質問が寄せられた。「最重要課題は何か」。「今年から始まった自律予算制度。50億円の予算を編成する権限ができた。違う世代からは無駄使いではないかとか攻撃も受けるが、青年を取り巻く問題点を発見し、解決するための事業へ予算を振り分ける」

 つどいを主催した平和と民主主義をともにつくる会・東京の若者メンバーは大きな刺激を受けたと語る。「ムンさん、輝いていた。SNSでなく議論する場を社会的に作っていることがすごい。あれだけのものを自分たちも作りたい」と、ムンさんと同い年の藤平良祐さん。「政策を作っていく過程が大事。日本でも私たち青年がつながれるよう『安心できる空間』作りに学びたい。年の近い人が一生懸命にやっていることが刺激になった」と20代の男性。

 地域会活動に携わる参加者からは「希望を感じた。あだちから青年のための政策をつくれないか」「パク・クネ政権を倒した青年が当事者として行政を変えてきていることが素晴らしい」。

 横浜市鶴見区の青島まさはるさんは「日本は青年を排除していることが浮き彫りになった。若者・市民が主権者になる場の存在が大事。めざす社会主義の方向性が見えた」

 つどいを準備した会事務局長の石島孝さんは「パク・ウォンスン市長が『自分は若者のことはわからない』と権限を当事者に付与し、聞かせてくれ、教えてくれと言った素直な接し方に学ぶ。集会の宣伝で青年要求を尋ねるシール投票をした時も、問いかけるとみな素直に話してくれた」と地域の中で青年との対話の場を持っていく希望を語った。

日本の青年へメッセージ

 「私は当事者としての活動を通して生き方が豊かになった。同じ悩みを持つ青年とつながれ、共有できた。既存のものに従うのではなく、一緒にシステムを作っていく事は楽しい。青年政策に関心を持ってほしい」とムン・ジヘさん。次回はソウル市で政策要求・実現の日韓交流の場を持ちたいと市民同士の連帯へ展望を語った。



 
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