2019年10月11日 1595号

【反原発北海道の旅/危うさ感じる地層処理研究の現場】

 関電前プロジェクト・秋野恭子さんがZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)北海道メンバーとともに9月20〜22日、道内の反原発運動と交流を深めた。その報告が寄せられた。

 北海道庁前、金曜日行動に参加した。大阪からと、飛び入りアピール。前日19日の東電刑事事件無罪判決を絶対に許さない決意、関西電力前での金曜行動や伊方原発30キロ自治体要請の報告などをした。発言者が次々と「再稼働反対!」とコールでつなぐ一体感のある道庁前行動だった。

 翌日は泊原発周辺へ。温排水調査を40年続ける斉藤武一さんと交流。保健所で人口動態統計死因別人数を調査、原発の近隣でがん死亡が多いことを分析した本を出版された。最新の原発反対紙芝居もみせてもらった。

 敷地が狭い泊原発。解体場所がない。その場に置いておくしかないのでは、という。岩内港対岸にくっきり見える泊原発が印象的だった。

核廃棄物の行き場は?

 翌朝、岩見沢を車で出発。5時間かけて、幌延町にある深地層研究センターへ。高レベル放射性廃棄物の地層処分の研究施設だ。

 研究施設は岐阜県瑞浪市にもある。瑞浪は研究坑道の埋め戻しを決定、幌延はあと2年延期をすると発表があった。なし崩し的に最終処分場になるのではないかと懸念がもたれている。

 見学コースがある。親子連れも数組来ていた。職員は「2年延長しますが、そのあと地下坑道は埋め戻します。最終処分場にはなりません。放射性物質は持ち込みません」と強調した。疑念は消えない。

 11人定員のエレベータで地下350bに降り、坑道を歩く。壁を流れる地下水が溝にたまり、金属がサビていた。高レベル放射性廃棄物をガラス固化しても、人間はそばに立てば30秒で死亡する。その固化体を、ステンレス製のキャニスター(密閉容器)に入れ、容器と岩盤との隙間をベントナイト(粘土の種類)で充てん(地下水の移動を抑える)し、金属容器の腐食を遅らせる。放射性物質が出てきても、地下水が外部に運ぶのを遅らすことができるとの説明だった。

 水の量の調節は? 地下水の流れが速いところだったら? キャニスター移動などの機械の開発状況は? など疑問が次々にわいてきた。

 2年後まで研究を延長とするのは、六ヶ所村の再処理工場の稼働期間と符合する。再処理工場が動かないと、使用済み燃料プールが満杯になり、原発稼働が困難になってくる。その際、この幌延が保管場所とならない保障がどこにあるのだろうか。

 このように大掛かりな研究をしなくてはならない放射性廃棄物を日々生み出している原発を、一刻も早く止めるべきだという危機感がよりいっそう強まった旅となった。



 
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