2019年10月18日 1596号

【1596号主張 民意とかけ離れた安倍所信表明 対話で地域の怒りを束ねよう】

底なしの腐敗と生活破壊

 福井県高浜原発の地元、高浜町森山元助役を通じた関西電力への原発マネー環流が市民の怒りを引き起こしている。2011年以降の7年間だけで関電が受け取った金品は3億円を超える。消費増税で1円の節約を強いられる中、人びとの健康と生活、ふるさとを破壊した原発を推進する電力会社と立地自治体・企業が、巨額の原発マネーに群がる実態が明るみに出た。

 10月4日、第200臨時国会が開会。所信表明演説で安倍はこの原発の実態にはひと言も触れず、ひたすら憲法審査会で憲法論議を強行する意思を示した。7月参院選では改憲派が3分の2を割り発議権を失った。民意は憲法「改正」など求めていない。

 安倍は演説で「全世代型社会保障」を強調した。だが、その内実は70歳までの就労強要や保険料増、給付減など市民の負担増ばかりだ。消費税について「増税影響に目配り」と口にしたが、足元では税率据え置きのはずの食料品も値上がりし、市民生活は苦しさを増している。

消費税廃止 大企業増税へ

 安倍政権は、メディアを総動員して消費税が公平な税制であり安定的財源だと宣伝する。しかし、消費税は低所得層ほど負担割合が大きい逆進性を特徴とする。公平とは所得が高くても低くても税額が同じであることではない。能力に応じた負担を求める税制が真の公平・公正なのだ。

 「社会保障財源」名目での消費税導入は1989年。それ以前、消費税がなくとも社会保険料は今よりも低く、政府財政赤字もずっと少なかった。「財政再建」を口実に市民への負担押しつけがはっきりと出てきたのは、新自由主義に舵を切った1990年代からだ。消費税導入から30年。法人税は半分に、所得税最高税率も60%から45%になった。消費税には、労働者・貧困層から大企業・富裕層に所得を移転させる逆再分配≠ニいう明確な狙いがあった。

 この30年間、労働者の所得は低下し続けた。これは政策の失敗≠ネどではない。政策が政府と資本の狙い通りに機能したから起きたのだ。99%の市民を窮乏化させ、1%のグローバル資本―富裕層を肥え太らせる目的で導入され「期待通り」の成果を上げた消費税。消費税廃止は当然であり、大企業・富裕層への課税強化こそが必要だ。

地域から団結まつりへ

 臨時国会開会日、国会前には市民が集い、改憲発議反対、増税より被災地支援、軍事費よりも暮らしに、韓国敵視をあおるな、辺野古新基地建設反対、原発マネーの徹底究明を訴えた。文字通り安倍政権への全面抗議の場となった。

 命も生活も奪うアベ政治の本質を暴き、対案を示せば打倒への道が開ける。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)の「軍事費より社会保障を」署名を手に戸別訪問や街頭での対話で地域の怒りを広げ、団結まつり(10・20東京、11・4大阪)に集まろう。安倍内閣「支持」は嫌韓ヘイトをあおり批判をそらすことで作り出されている。韓国民衆との連帯を築き、敵視政策を封じ込めなければならない。団結まつりに続き、韓国済州(チェジュ)島、沖縄から反基地活動家を招く12月ZENKOスピーキングツアーを成功させよう。

   (10月6日)
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