2019年10月18日 1596号

【みる…よむ…サナテレビ(533) 2019年10月5日 配信イラク平和テレビ局in Japan/役人は恥を知れ/イラクの日雇い労働者の怒り】

 2003年のイラク占領以来、歴代政府は多くの公企業を閉鎖し、正規雇用を減らしてきた。急増した日雇い労働者は低賃金と無権利状態に苦しんでいる。2019年9月、サナテレビはバグダッドの日雇い労働者たちにインタビューしてその実態を訴えた。

 最初に登場する日雇い労働者は「けがをして働けなくなっても、友人か親せきにお金を借りて生き延びるしかありません。(政府は)福祉事業も、食糧配給も、何もしない」と訴える。インタビューが行われているのはバグダッドだが、「街は汚れきり、敷石は剥がれ、水道は壊され、人びとは汚水を飲んでいる」という状態だ。

 町には一方でエジプトやイランの労働者が多く働いている。グローバル資本の儲けのためにより低い賃金でも働く労働者を国外から連れてきているのだ。

 2人目の日雇い労働者は建設現場で働いていて足にけがをし、金具で骨を固定している。「30分も歩くと1時間半は休まなければならない」というかなりの重傷であり、長い期間働くことができないことは明白だ。ところが、労災を申請しても当局からは何の対応もない。「衛星テレビ局が毎日来て話を聞いていくが、何の進展もない」と実態を述べる。「政府当局者は、この道路を通っても車の窓から住民を一瞥(いちべつ)するだけ。役人こそ恥を知れ」と怒りの声をぶつけた。

 最後に登場する日雇い労働者は、大学の教育学部アラビア語学科を卒業したが正規雇用の口はなかった。「私の手には何もなく、何の福祉も受けておらず、40歳なのに何の財産もない」と窮状に憤る。

 このような日雇い労働者の声を聞くと、政府当局は本当にひどいと思わずにはいられない。

 イラク政府は石油利権を握るグローバル資本の利益のために民営化を進め、失業者を増やし、社会福祉を切り捨てている。生み出された膨大な日雇い労働者たちは無権利状態に苦しんでいる。サナテレビはこの実態を知らせ、労働者の権利獲得のために立ち上がろうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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