2019年10月25日 1597号

【1597号主張 軍事費よりも災害対策だ 改憲ではなく命と暮らしを】

命をかえりみない安倍

 この国の政府はどれだけ人の命を軽視しているのか。10月12〜13日、大型の台風19号が東日本を襲い、72人が死亡、14人が行方不明となった(10/15現在、NHK)。かつてない47河川66か所もの堤防が決壊し、甚大な被害の全容はいまだつかめないほどだ。

 気象庁は台風上陸当日の12日2度緊急会見を行い、住民に避難を呼びかけた。しかし、安倍首相は「終日、公邸で過ごす」(首相動静)で危機管理対応に動くこともなく、ラグビーワールドカップやノーベル賞受賞ではただちに発信したツイッターも災害については沈黙だった。

 13日、政府は非常災害対策本部を設置したものの、台風15号の際に組閣優先で被害を放置したことを追及されたのを意識した「やっている感」宣伝がありありとうかがえる。自民党の二階幹事長は13日の緊急役員会で「予測に比べると、まずまずに収まった感じ」と危機感のない本音をもらし、被災者感情を逆なでした。一連の災害対応から見えてくるのは、市民の暮らしと命などまったくかえりみることのない安倍政権の姿である。

腐敗と軍拡にノー

 災害対策だけではない。安倍政権による表現、報道の自由抑圧、そして疑惑と腐敗隠しの実態が次々と明らかになっている。あいちトリエンナーレでは文化庁がいったん決定した補助金を法的な根拠もなしに不交付とした。NHKがかんぽ生命の不正販売問題を報じた番組について、日本郵政が圧力をかけ続編を放映させなかった。さらに関西電力幹部の3億円を超える金品授受問題でも、原発マネーが献金として稲田自民党幹事長代行らにも流れていた。これらに開き直る安倍を臨時国会で追いつめ、改憲策動を断念させる闘いが必要だ。

 安倍政権は10月7日、沖縄・宮古島で住民の反対を押し切り、ミサイル新基地のための保良(ぼら)弾薬庫の工事着工を強行した。また中距離核戦力全廃条約の失効を受け米国が日本など4か国へ中距離弾道ミサイルを配備する計画も明らかになった。それは、日本全土の要塞化へとつながる。

 20年度軍事予算の概算要求は過去最大の5・3兆円、石垣、宮古など南西諸島警備部隊の整備関連経費だけでも237億円だ。辺野古新基地建設の総工費は沖縄県試算で2・5兆円にのぼる。新基地阻止とともに、軍事費よりも災害対策、市民生活改善に回せの声を広げなければならない。

沖縄・韓国連帯で安倍倒せ

 戦争と排外主義、生活破壊の安倍政権に私たちの命を託すことはできない。今必要なのは沖縄・韓国民衆との連帯を強め、地域の対話でアベ政治への怒りを束ねることだ。

 団結まつり(10・20東京、11・4大阪)では沖縄、韓国からゲストを招き、反基地運動、労働運動をはじめあらゆる闘いが集い交流する。地域でZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)の「軍事費よりも社会保障を」署名などを手に戸別訪問行動が取り組まれつつある。対話の中では、消費増税や年金、介護など日々の生活の苦しさやカジノなどに市民は不安を口にする。こうした声を集め、11月11日の中央省庁要請行動に取り組もう。市民の運動で安倍退陣の世論を巻き起こそう。

   (10月15日)
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