2019年10月25日 1597号

【突っ込みどころ満載の臨時国会/「安倍晋三に猛省を求める」自治体決議は市民の声/疑惑隠し歴代1位≠フ長期政権に喝】

 臨時国会が10月4日召集された。12月9日までの会期中に、安倍晋三首相は在職日数歴代1位を迎えるという。だが、その政権はウソとごまかし、審議拒否の歴代1位不誠実内閣≠セ。沖縄新基地建設、不公平税制、年金給付削減、そして森友・加計問題や政府統計データ改ざん…。原発マネー還流問題まで発覚。政治の私物化を挙げればきりがない。国権の最高機関にふさわしい国会審議で、疑惑政権を徹底追及し、悪政の数々を明らかにしなければならない。

森友事件不起訴に怒り

 「未来を見据え、令和の時代の新しい国づくりをめざそう」。安倍は所信表明演説でこう語った。要は、過去のことは忘れてほしいということのようだが、そうはいかない。

 国会開会前日の10月3日、神奈川県大磯町議会が「内閣総理大臣 安倍晋三衆議院議員に猛省を求める決議」を賛成12人、反対1人の圧倒的多数で可決した。安倍を名指しし、森友問題で疑惑を解明する責任がある総理として、国会議員として、大いに反省せよと地方議会が叱責したのだ。

 大阪地検特捜部が8月9日、佐川宣寿(のぶひさ)元理財局長らの背任、有印公文書変造・行使容疑の捜査を打ち切ったと発表した。検察審査会から「不起訴不当」とされ、再捜査を行ってきたが、再び不起訴にしたのだ。大磯町議会は、内閣が任免する検事総長による捜査指揮は「安倍総理への忖度に感じられるのは私たちだけではない」と決議した。

 まことにその通りだ。根拠のない8億円を超える値引きや公文書から首相夫人の名前を削除したことが犯罪に当たらないとはいかなる見識か。決議を提案した議員は、千葉の大停電にも無策だった安倍への「庶民のことを考えているのか」との怒りが動機となったと言う。決議文には、「この際、国政に専念していただきたい」とある。人口3万2千人の自治体ではあるが、全国の市民共通の思いだ。

 森友と並んで重大な安倍案件、加計問題も追及を緩めてはならない事件だ。誰が加計学園獣医学部新設を国家戦略特区に選んだのか。10月10日の衆院予算委員会で追及された安倍は、しどろもどろになった。昨年5月衆院予算員会で、安倍は自分ではないと言いたいがため「ワーキンググループ(WG)が事実上、決めた」と答えていた。

 ところが今回、政府答弁(北村誠吾内閣府特命担当大臣)は「WGは選定しない」と安倍の答弁を否定した。動揺を隠せぬ安倍は、座長の立場にある諮問会議とWGの間にある分科会を持ち出し、諮問会議もWGも選定していないと苦し紛れの逃げを打った。「長年の友人」への利益供与を隠くそうと狼狽する姿は、見苦しいかぎりだ。

経済失政隠すウソ統計

 消費税増税を強行するために数々のウソをついてきた。通常国会で問題になった厚労省の毎月勤労統計改ざんもそうだった。財界からも強い要請のあった消費税率引き上げ。これ以上先送りできなくなった安倍政権は、アベノミクス「効果」をアピールするために「賃金上昇」を示すよう統計数字をごまかした。「経済は堅調」でなければ、消費税増税はできないと自ら言ってきたからだ。

 ところが、内閣府は8月の「景気動向指数」から「悪化」と判断(10/7)。実際は18年1月ごろをピークに景気は後退していた。今頃になって公表しているのだ。

 7年間掲げ続けたアベノミクスは「物価2%上昇」目標を達成できないばかりか、格差を拡大し、個人消費の停滞によるデフレ不況を深刻化させている。その一方で、グローバル資本は、史上空前の内部留保を積み上げている。こんないびつな経済を生んだのがアベノミクスだ。グローバル資本、富裕層への課税強化で富の再分配を行う以外に道はない。

厳しい国会審議を

 「お友達」への便宜供与から、市民生活破壊の安倍政治を徹底的に追及することが、国会審議の役割だ。

 沖縄新基地建設やイージス・アショアなど、設置理由すらまともに回答できないにもかかわらず、膨大な軍事費支出が続いている。安倍に猛省を促した大磯町議会は、同じ日、辺野古新基地建設即時中止、普天間基地運用停止、米軍基地の必要性について国民的議論を行うことなどを求める意見書を採択している。無用な軍事施設にどれほどの税金が投じられるのか、政府自身わかっていない。新基地建設反対の声は全国に広がっている。

 安倍は税金を自分の小遣いでもあるかのように思っている。総理主催の「桜を見る会」は予算の3倍を使い、自らの後援会を接待していた。総理にならうかのように閣僚の乱脈ぶりも目に余る。菅原一秀経産相は公設秘書の給料を巻き上げた。そんな連中が、安倍政権にはごろごろいる。

 安倍は所信表明演説の最後、「国の理想を議論するのが憲法審査会ではないか」と述べ、憲法議論をすることで「国民への責任を果たそう」と声を張り上げた。国民への責任は、現在のでたらめ政治を真っ先に議論することだ。

 憲法に規定された臨時国会開会要請にも答えず、予算員会開催からも逃げ回り、議論になれば「ごはん論法」よろしく、まともに答弁しない。これが歴代在職1位となろうとする安倍政権なのだ。この醜い政権の実態を余すことなく暴露する国会審議を行わせるには、主権者である市民の圧力が欠かせない。

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