2019年10月25日 1597号

【沖縄宮古島 保良弾薬庫 建設工事を強行 命脅かす施設は造らせない】

 安倍政権がまたしても民意無視の強行手段に出た。

 10月7日早朝6時半、宮古島市城辺(ぐすくべ)の保良(ぼら)鉱山に陸上自衛隊の弾薬庫を建設するための工事を着工した。隣接する保良と七又(ななまた)の両部落会は、「弾薬庫建設反対」の決議をあげている。3日に沖縄防衛局は住民説明会を開催したが、「弾薬庫」のことを明示しないまま開こうとしたため約100人が出席を拒否し、参加した住民は約10人だけだった。防衛局は着工と明確に言わないまま、その4日後不意打ちのように強行した。


7時間の進入阻止

 住民が怒りの声を上げるのも当然だ。計画されている弾薬庫から最も近い民家まで200bも離れていない。戦闘になれば真っ先に攻撃対象となるのが弾薬庫やレーダーだ。周辺住民の被害は免れない。保良は太平洋に面した静かな農村地域。観光地として人気の高い東平安名崎(ひがしへんなざき)公園まで車で5分もかからない。そんな風光明媚な場所に危険な弾薬庫を建設するというのだ。

 昨年11月、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)によるワンデーアクション防衛省交渉では、「保良区の住民が納得していないのに弾薬庫を建設するのは問題だ」との追及に、「適切に対応し地元の皆さんに丁寧に説明する」の回答に終始したが、その「説明」さえ行わない。

 元自衛官で軍事ジャーナリストの小西誠さんも9月28日の住民集会で、「推計で弾薬庫には、地対艦ミサイルが約7d、地対空ミサイルが約4・5dに加え、中距離多目的ミサイルや迫撃砲など13dの弾薬が保管される。人命軽視、無視のとんでもない危険施設だ」と訴えている。

 10月7日、工事は、資材を積んだトラック1台が鉱山の敷地内に入り、作業員らが鉄製の柵を入り口に設置。午前8時前には、反対する市民が駆け付け、「違法な工事はやめろ」「まだ説明会は終わっていない」と抗議の声をあげ、仮設用トイレと発電機を積んだトラック2台が敷地内に入るのを阻止した。入口付近で長時間の膠着状態が続いたが、午後3時前に宮古島警察署員らが市民を移動させ、車両が構内に入った。

 沖縄島から駆け付けた山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)は「参院議員も来ているのに、(沖縄防衛局が)始めさせてもらいます、としか言わないのはおかしいだろう」と怒り心頭だ。

 75年前の沖縄戦でも、保良にあった旧日本軍の弾薬庫が爆発し、子守をしていた女性一人がなくなった、と地元住民は語る。「こんな危険な施設は造らせない。今後も闘っていく」と住民は建設反対闘争への決意を固めた。

日本全土の要塞化止める

 米政府が沖縄島に中距離弾道ミサイルを配備する計画がわかった。

 中距離核戦力(INF)廃棄条約が8月2日に破棄されたことで、条約が禁止していた中距離弾道ミサイルを、米国が2年以内に沖縄をはじめ日本全土に大量配備する計画が明らかにされた。米政府関係者から伝えられた水面下の情報交換の内容をロシア大統領府関係者が発表したものだ。

 10月4日、河野太郎防衛相は「全くない」と計画を否定したが、茂木敏充外相は「核弾頭ではなく、通常弾頭なのですでに発表しているところだ」と計画を認めた。

 パトリオットミサイルPAC3がすでに配備されている米軍嘉手納基地のほか、イージス・アショア配備予定の秋田市新屋演習場、山口県萩市のむつみ演習場、神奈川県横須賀市や長崎県佐世保市の米海軍基地、沖縄県うるま市の米軍ホワイト・ビーチなどにこの新型弾道ミサイルを追加配備する公算が強い、と軍事評論家の前田哲男さんは語る。

 韓国ソソンリのTHAAD(サード 高高度防衛ミサイル)配備、京都・経ヶ岬や青森・車力(しゃりき)のXバンドレーダー配備など、米政府と安倍政権は、東アジアで中国・ロシアとの覇権争いに勝ち抜こうと軍事緊張を高める策動を強めている。断じて許されない。沖縄民衆とともに、日米韓市民の連帯で軍事大国化を阻止する闘いが今こそ求められている。

広島、長崎市長 沖縄へ

 玉城デニー知事は10月3日、県議会一般質問で、戦後75年となる来年の沖縄全戦没者追悼式に原爆の被害を受けた広島、長崎の両市長を招待し、自らも両市で開かれる式典に出席する考えを明らかにした。

 安倍政権が大軍拡予算で戦争路線を強める中、アジア太平洋戦争被害の非人道性を象徴する3つの自治体が力を合わせて反戦反核平和を発信することには大きな意味がある。その6月23日「慰霊の日」を待つことなく、危険な安倍政権を退陣させ、平和な東アジアをつくりあげる連帯を広げよう。    (N)



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