2019年10月25日 1597号

【地域の声を力に変える 広がる戸別訪問】

 2019ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)in東京に参加したDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)に学び、各地で戸別訪問活動が広がっている。カジノ反対など地域の課題とZENKO「軍事費より社会保障を」署名などを手に1軒1軒訪ねる。横浜市鶴見区、大阪市城東区の取り組みを紹介する。

不安はあったが訪問で自信 私にもできることがあった 横浜・鶴見区

 平和と民主主義をともにつくる会・かながわは8月以降、毎週土日に欠かさず鶴見区全戸訪問を継続してきた。参加者はもっとも多い時で10人5チーム。2人1チームの時もある。訪問前にミニ学習や想定問答を行い、いざ出発。訪問を終え、皆で読者カードを整理し報告書を書き次回の準備をし反省会というサイクルだ。「カジノに対する市民の声を聞きたい」を切り口に話しこんで会話を継続し、カジノ市長リコール受任者、ZENKO署名への協力、会のニュース青島まさはる通信を読んでほしいと呼びかけている。

 その中から様々な出会いや感動の経験が寄せられている。

 50代のTさんは「とにかく初めて訪問した者なのに、一応話を聞いてもらえる! カジノ、消費税の意見を言ってくれる! ここに驚いている。想像していたよりもずーっとフレンドリー」と、家から出てきてくれることを喜ぶ。一番の問題だと思うのは「やはり若者が少ないこと。なぜ選挙に行ってくれないのかなー。何とかしたいと思っているがこれはなかなか答えが出ない」。「訪問から帰ってからの読者カードや報告書作りなど実務作業は何の苦もない。楽しいほど。訪問は今後も続ける」と充実感を語る。

 「仲通り(区内でも沖縄出身者が多い地域)は感触が良い。訪問してホッとした」と言う40代のKさん。「自分の体が心配だったし、言うべきことをどう伝えたらよいか、質問されたらどう語るかなど不安はいっぱいあった」。でも、「マニュアルもありイメージが出たので参加してみようかと思った。はじめは2人一組の記録担当から始め、話を聴く側に回って言い回しを知ることができ、その回数が増えてきた。帰ってきた後、皆で作業もして、これなら自分もできる。私にもできることがあるんだ!と自信になった」。

 政治の話は苦手と言うKさんだが、「老人の困ったことや健康問題だったら問題なく話せることがわかった。この地域は、生活に苦しんでいる方が多く、投票に関心のない人、生活が一杯一杯の人たちと会えて、皆私と同じで救われた。自分の戸別訪問ができると思えるようになった。少し怖いなーとも思っていたけど、やってみてできることがあるとわかった。マイペースで、無理せず参加すればよいと思う」と自らの変化を語る。

地域の変革へ 私たちこそが主権者 大阪・城東区

 地域を真に変革していくには、戸別訪問以外に道はありません。山川よしやす代表の平和と民主主義をともにつくる会・大阪として、1万票獲得、1か月200人の支持拡大が達成目標、使命感の源です。

 「山川事務所の者です。今、国民の6割以上が介護とか年金・医療・教育を不安に思っている調査結果があります。今日は皆さんに、そんな不安に思っていることをお伺いして、城東区や大阪市、国・省庁への要請に繋げよう、と取り組みをしているのですが、何か心配事やご要望はありませんでしょうか?」

 話になった方に図表をお見せし「大企業ほど税金が少ない制度になっています。政府が見直せば福祉にお金が回ります。いくら法を犯していないからといっても、大企業が抜け道を駆使して税金を払わないなんて、企業の倫理観、低過ぎではないですか」。

 すると、70代男性は「大企業の税金逃れは初めて知った。これはあきませんね。私は何をしたらいいでしょうか?」。署名を見せると、「署名する。子や孫にも話すので署名用紙、預かる」。団結まつりや地域の集いにも積極的で、後日、参加されることになりました。

 戦後わずか74年。我が国の民主主義の歴史、とても短いです。訪問でも「政治は諦めてる」「なんともならん」の声が聞かれます。自己責任論や経済状況を理由に弱者はガマンを強いられる生きづらさ。

 なぜ声を上げることがためらわれるのか、民主主義がただの知識でしかないから。知りつつも、いまだ市民の血肉までに至らず、それが今の我が国の惨状を招いています。訪問では「私たちこそが主権者」ともお伝えします。

(平和と民主主義をともにつくる会・大阪 前田健志)



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