2019年10月25日 1597号

【たんぽぽのように(9)李真革 コンビニ前のパラソルと広場】

 暑い夏が過ぎて、朝と夕方に涼しい風が吹いて来る。場合によっては、蒸し暑い夏でも、寒い真冬でも構わないが、このように過ごしやすい春や秋にはコンビニ前のパラソルに座って缶ビールを飲みたい時がある。もちろん、日本では容易ではないことである。

 韓国のコンビニの前には、多くの場合、パラソルと簡易テーブルと椅子が置かれている。いつでもカップラーメンやサンドイッチなどの軽食を、またはビールとチップスを楽しむことができる空間である。日本に来て、少し様相の異なるコンビニに驚いた点は、無料駐車場があること、トイレが設置されていること、そしてパラソルがないことなどであった。

 1990年代になって、韓国の都市にコンビニエンスストアが入り始め、いつしかその数は4万店を超えた。日が経つにつれてコンビニの形態や文化も少しずつ変わってきたが、コンビニ前のパラソルは、私が思うに最も際立つ韓国と日本の違いだ。ちょうど屋台文化の違いと同じように。

 コンビニ前のパラソルを思い浮かべるのは、値段が高くなくても新鮮な空気と一緒にお酒を楽しむことができるという点だろう。花見シーズンや祭り期間など限られた場所と期間でなくてはなかなか屋外でお酒を飲むのが困難な日本の環境は、韓国と全く違う。特定の時期だけ、路上で声高に騒ぐことができるし、お酒も飲むことができるが、それはまるで許可を受けた自由のように感じられる。

 日本と韓国の公共の場での行為に対する規範が異なり、しばしばその場所の概念と用途も異なってしてしまうようだ。

 もう一つの代表的な場所は広場である。

 しばらくの間、日本のメディアさえ熱くしたチョ・グク法務部長官が最終的に辞任した。パク・クネ大統領を弾劾したキャンドルの光化門(クァンファムン)広場は、今、ムン・ジェイン大統領に反対する人々で満ちているようだ。とにかくその広場は、誰かの信念や行動のための場所として、そこにそのように続いている。

 ムン・ジェイン政権になって3年が過ぎたが、全国教職員労働組合はまだ法外労組の状態であり、韓国道路公社の料金所収納員の労働者たちは、直接雇用するように命じた最高裁判決を履行していない会社を相手に闘争している。辞任を発表しながらチョ氏は自分が検察改革のための焚き付けの役割を果たしたと話したが、私には、まだ誰のための、何のための改革なのかわからない。

 ここには存在しないコンビニ前のパラソルの下に座ってビールを飲みながら、今消えてしまった広場の旗とろうそくを思い出してみる。

    (筆者は市民活動家)
 
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