2019年10月25日 1597号

【フラワーデモで性犯罪NO! 刑法改正で女性の尊厳を守ろう】

 性暴力の根絶を求めて行われている毎月11日のフラワーデモ。今年4月から始まったこの取り組みは、7回を数え、今全国各地に広がっている。

 始まったきっかけは、レイプした加害者を訴えて裁判に立ちあがったジャーナリストの伊藤詩織さんを支援しようとSNSを通じて呼びかけられたことだ。フラワーデモには、裁判に立ちあがった伊藤さんに勇気づけられ、今まで口に出せなかった性被害の辛い体験を語り始める人が大勢現れた。世界中で展開された#Me Tooの運動を契機に、ネット上で「私もこんなことがあった」と言いだした人たちが、今度は街頭に出て自分たちの体験を語り始めた。さらに、被害者を孤立させず、“With You”と共感と支援の輪が拡大しつつある。

女性に不利な日本の刑法

 この間、性暴力に関する裁判で、被害者を「無罪」とする不当な判決が次々と出されたことに、フラワーデモ参加者からも怒りが沸き起こっている。とりわけ、娘に対し長きにわたって執拗な性暴力をはたらいていた男性を「無罪」にした名古屋地裁での判決は衝撃的だった。性暴力を受けても「抵抗が著しく困難だったとは言えないので無罪」とした裁判所の判断は、嫌でも抵抗できなかった女性の立場を理解せず、がまんを強要し、性犯罪を野放しにするもので、到底許されるものではない。

 もともと、日本の刑法は、性犯罪から被害者を保護するという観点がきわめて弱い。女性には「貞操観念」が求められる一方で、男性の性犯罪は免罪される傾向にあった。刑法は、2017年に見直され「強姦罪」は被害者の性別を問わない「強制性交罪」に代わった。しかし、被害者の意思に反した性行為であっても「暴行や脅迫」「心神喪失や抗拒不能(抵抗が困難であること)」などの要件が立証されなければ、罪に問われない。性犯罪の多くは密室で行われ、物証を取りにくい。泥酔して意思表示できない状況で性行為をしても「相手は同意していたと思っていた」と言えば罪にならないのが今の日本の司法の実態だ。

地元でも声上げる

 現刑法は、2020年に再度の見直しが行われることになっている。性暴力被害の問題に取り組む弁護士の角田由紀子さんは「強制性交罪から暴行・脅迫の要件をなくし、相手の同意のない性行為はすべて罰するようにすべき」「でも条文を変えても、運用する人の頭の中が同じであれば、判断は変わりません。男社会の常識を問い返すことが大切です」と語っている。

 立ちあがった性暴力被害者に応えたい。大阪のフラワーデモに欠かさず参加していたYさんは「地元の茨木でやりたい」と準備を進めてきた。10月11日は、JR茨木駅前で9人が参加した。Yさんは「性犯罪に対する最近の裁判はひどい」とスピーチ。参加した男性も「女性に対する男性の考えを変えないといけない」と訴えた。フラワーデモを広げ、ここから政治を動かし刑法改正を実現しよう。

(OPEN〈平和と平等を拓く女たちの絆〉 山本よし子)

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