2019年10月25日 1597号

【さようなら原発北海道集会 東海第2原発うごかすな/幌延処分場に反対訴える】

 10月6日、さようなら原発北海道集会が札幌市で開催された。

 東日本で再稼働が今、焦点となっている東海第2原発の地元から、茨城県平和擁護県民会議の相楽衛(さがらまもる)事務局長が特別報告を行った。「今年はJCO臨界事故から20年。作業員2人が死亡、666人の住民が被曝し、31万人が屋内退避させられた。原子力事故は必ず起きるというのが教訓。福島原発事故後6年かけて、周辺5自治体にも東海村と同様の再稼働に対する事前了解権を与えるよう求め続け、昨年3月に実を結んだ」と闘いを報告。「私たちは6自治体に再稼働に同意しないよう働きかけを行っている」と自治体闘争への決意を述べた。

 北海道幌延(ほろのべ)町の日本原子力研究開発機構深地層研究センターは放射性廃棄物の地層処分を研究する施設だ。研究期間は2001年から「20年程度」で最終処分場にしないという約束だが、今年8月、期限延長が申し入れられた。

 幌延町の隣、豊富(とよとみ)町で酪農業を営む久世薫嗣(くせしげつぐ)さんが現地報告。「立地計画当初の深地層研は研究と放射性廃棄物の中間貯蔵を目的としており、まさに処分場計画だった。豊富町議会では反対派が昼食に出かけた隙を狙って推進派が受け入れ決議を可決。酪農家による反対運動が始まった」と述べると会場がざわめく。「町議会議長と特別委員長、推進派2町議のリコールに7割の賛成票で成功。その後、深地層研の目的は研究に限るとの条件が付けられた」と闘いの成果を報告した。

 「当時、道庁官僚に『20年経てばそのうち過疎化で反対する人はいなくなる』と言われた。地域の産業をちゃんと守れば農協などの組織も残る。子どもたちも都会に出さず地元に残す。そうしなければ勝てない」。久世さんの言葉は原子力施設に限らず基地など他の問題にも共通する。不利益を地方に押しつけるため、国は意図的に地方の過疎化を進めているのだ。

 参加者は市内中心部をデモ行進。市民に原発再稼働や深地層研の延長阻止を訴えた。

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