2019年11月01日 1598号

【議会を変える 避難所に避難したことありますか 東京都足立区議 土屋のりこ】

 今年度災害対策委の委員を務めており、総括と避難計画改善へ議論の真っ最中です。

 皆さんは避難所に避難したことってありますか。足立区では台風19号到来の前日から順次避難所が開設され、103の区立小中学校ほか135か所が避難所となり3万3172人が避難しました。「町会のボランティアで設営に行ったら区の職員が遅れてきて『何したらいいか』。そりゃないよ。避難訓練は何だったのか」「ここは一杯だからと追い返されている人を見た」「発達障害の次男が雰囲気に興奮してしまい、周りから冷たい目で見られ避難所にいられず、避難指示発令直後の夜中に自宅に戻らざるをえなかった」など。台風一過の地域まわりでは避難所の混乱ぶりが浮き彫りとなりました。

 足立区は四方を河川に囲まれた海抜(ほぼ)ゼロメートル地域で、昨年より江東5区広域避難推進協議会を立ち上げ水害時の避難について検討を進めてきています。今回も「可能な方は広域(自主)避難を」と呼びかけられ、綾瀬川流域では避難指示、荒川流域で避難勧告が出されるなど、水害からどう命・暮らしを守るかは全区的課題です。

 10月17日災害対策委員会がありましたが、議論しきれず、別途日を一日設けて集中審議することとなりました。

 大雨は東京西部に集中したこと、首都圏外郭放水路等の治水対策が行われていることもあり、区内での河川オーバーフローはなく浸水被害を免れましたが、雨雲の進路によっては荒川越水・氾濫も想定の範囲内です。現状の避難計画は大地震を想定したもので水害の観点がないことが課題です。氾濫からどう命と暮らしを守るか、被災者の尊厳を守る国際基準「スフィア基準」による避難所の在り方、68万区民はじめ区内在住者すべての命を守る避難の在り方・備え方、などなど。

 行政は「自助・共助・公助」と言いつつ公的責任ではなく自助で災害を乗り切れと力点をシフトしていますが、こんな無責任はありません。

 停電対策として緊急時に電力供給できるソーラーパネル設置補助や避難所でのプライバシー保護、医療的ケアの必要な方が安心して避難できるあり方、他自治体・他県等との協定を早期に結び広域避難できる仕組みづくりなど、公的責任による災害対策を、委員会で強く求めていきます。

 
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