2019年11月08日 1599号

【みるよむ(536) 2019年10月26日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの階級闘争と市民】

 イラクではグローバル資本の支配のもとで民衆の貧困は深刻化している。資本家階級の暴力的支配は一層強まっている。これに対し、社会主義をめざし変革を求める人びとはどのように立ち向かおうとしているのか。2019年夏、サナテレビはイラク市民にマイクを向けた。

 インタビューに応じた市民は、ひどい政治状況について次から次へと口にする。「国民が選挙で国会議員を選び、国会が法律を定め、首相を選んでいる。しかし、選挙では何百万票にも及ぶ不正投票が横行し、結局、勝利を手にするのはイスラム主義勢力だ」

 イスラム主義勢力は政治権力を獲得するために議会制民主主義制度を、形だけ利用しているにすぎない。彼らの政権は10月、社会サービスや雇用を求める市民のデモに実弾を発射し、500人以上もの市民を殺した。

 背後にいるのが石油産業をはじめとしたグローバル資本だ。彼は「権力を握っているのは資本家勢力で、犠牲となっているのは労働者、貧困層、失業者だ」と誰が敵なのかを正確に言い当てる。

 ではグローバル資本とイスラム主義勢力に立ち向かうために何が必要か。彼は「人間と、人間の尊厳と、人間の福祉を目的として共に活動しなければならない」と強調し、「組織し、主張し、そして継続していくことが求められる」と訴えている。

 2番目に登場する市民は、宗教を使った支配により「市民が教育を受けられなくなり、文化がなくなり、進歩がなくなっている」と指摘。老朽化した設備や大人数の教室など学校は劣悪な状態に放置されている。この市民は「政府は『宗教と無教養』を押し付け民衆と闘っている」と表現する。

社会主義的対案で変革へ

 3番目に登場する市民も「貧困者をますます貧困にしたこの資本家階級による支配を終わらせる」と階級闘争の重要性を訴える。インタビューはイラク労働者共産党の結成26周年に合わせて収録された。市民の言葉には社会主義的変革への強い期待が表れている。

 グローバル資本による容赦のない搾取と格差拡大に対抗するには、社会主義的対案と変革の闘いが必要だ。それはイラクでも、アメリカでも、日本でも同じだと感じることができる。社会変革を求めるイラク市民に日本からも連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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