2019年11月08日 1599号

【ストップ辺野古 連続5日大行動 市民が集まりダンプを止めた 国の関与取り消し訴訟で不当判決】

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県の埋め立て承認撤回(昨年8月)を取り消した国土交通相の裁決を違法な国の関与として、7月に県が国を相手に起こした「国の関与取り消し訴訟」の判決で、福岡高裁那覇支部は10月23日、県の訴えすべてを却下した。「国民の権利救済を目的とした行政不服審査法を国の機関である沖縄防衛局が私人として利用したことは違法」との県の主張に対し、判決は、防衛局の審査請求は「一般私人と本質的に異ならない」とし違法ではないと判断。多くの行政法学者らの批判が強い「国の私人なりすまし論」を認める初の司法判断となった。

工事には多くのハードル

 玉城デニー知事は判決後、「国・地方双方の主張を踏まえた審理の充実が期待されていたが、このような内容の判決になり誠に残念だ」と述べ、納得できないとした。国と地方は対等関係とした改正地方自治法の趣旨を守るべきと訴えた県の主張にも「全く取り合っていない」と指摘した。

 今回の判決は、総務省設置の「国地方係争処理委員会」が出した決定とほぼ同じだったことに、県の弁護団は「係争委の決定のほぼコピペだ。係争委決定を踏まえ、国側も、県側も不満な点を主張したが、ほとんど取り上げなかった。訴訟で何を判断したのか疑問だ」と批判。国側にお墨付きを与えた不当判決だが、裁判所の職務放棄ともいえるひどさも同時に露わになった。

 県は今後上告する方針で、早ければ年内にも最高裁で決着する可能性もある。一方、11月26日には那覇地裁で撤回の適法性を問う「抗告訴訟」弁論が始まり、確定判決まで1〜2年はかかる。国側は勝訴が既定であるかのように想定するが、防衛局はサンゴ移植のための特別採捕許可申請や軟弱地盤改良工事の設計概要変更申請を行わなければならず、県の許可がなければ工事を進めることはできない。県は仮に裁判で負けても埋め立て承認の再撤回も視野に入れるなど国にとってのハードルは多く、工事を進め続けることは容易ではない。

安和桟橋で連続大行動

 10月21日〜25日、辺野古への土砂搬出を阻止する集中行動として、「あつまれ辺野古」の主催で「ストップ辺野古連続5日大行動」が名護市安和(あわ)の琉球セメント桟橋で取り組まれた。

 桟橋構内には搬出用の赤土を含む土砂が大量に積み置きされ、土砂を運搬船に積み込む作業をするのが空ダンプカーだ。この空ダンプを桟橋構内に立ち入らせないために、桟橋入口への結集とダンプの対向車線を多くの車が安全速度で走ることで入構を阻むGoGoドライブ≠ェ呼びかけられた。ZENKOメンバーもこの大行動にかけつけた。

 しかし、初日21日と翌22日は工事は行われず不戦勝。

 22日は、「STOP HENOKO全国交流会」が名護市内で行われ、県内外から約140人が参加した。オール沖縄会議の稲嶺進共同代表は「ゲート前や海上、安和、塩川での行動が少しずつ工事を遅らせ、最後には工事を止めることにつながる。諦めずに頑張ろう」と呼びかけた。本部町島ぐるみ会議や辺野古のカヌーチーム「辺野古ぶるー」などは現場の闘いを報告。「あつまれ辺野古」共同代表で土木技師の奥間政則さんは、安和桟橋構内の様子や琉球弧で着々と進む米軍・自衛隊の基地建設の現状をドローンの空撮写真で紹介した。内外から連帯メッセージが寄せられ、「多くの人が集まれば止められる」と行動の意義を確認した。

 行動3日目の23日、午前5時半には市民が安和桟橋と本部町の塩川桟橋に分かれて待機し警戒した。午前7時、いよいよ空のダンプ8台が桟橋に入るため列をなしてやってきた。市民は約80人に増え桟橋の入口を完全に封鎖。ダンプは全く動けないまま、午前9時半には立ち去り勝利に。桟橋前は歓喜のスピーチと歌でわき上がった。


引き返したダンプ

 翌24日も午前7時台にダンプがやってきたが、やはり立ちはだかった市民を前に引き返えさざるを得なかった。

 そして最終日25日、ダンプは一度も現れず5日間完全阻止。「あつまれ辺野古」共同代表の儀保昇さんは「奇跡のような出来事が今起きています。集中行動開始から今まで1台もダンプを許していません」とうれしさを隠さない。

 全国から結集した連日100〜180人の市民によって完全勝利を勝ち取った。人が集まれば止められることを実際に示した意義は大きい。

 奥間さんも「機動隊は来なかった。集まった市民の力によって、工事が止められた」と喜びと確信を語り、「私たちはみんながやらないアイデアを出してやっている」と、工事阻止に向けた次なる展望を描いた。     (A)



 
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