2019年11月22日 1601号

【朝鮮幼稚園はずしにNO!/全国集会&パレードに4千人】

 10月1日に始まった「幼児教育・保育の無償化」(5月10日成立の改正「子ども・子育て支援法」に基づく)の適用から、朝鮮幼稚園をはじめ外国人学校幼児教育施設が排除された。

 安倍首相は所信表明演説で「3歳から5歳までのすべての子どもたちの無償化が実現した」と自慢げに述べた。朝鮮学園などを対象から外し、その子らは「すべての子どもたち」には属さないというわけだ。まさにヘイトそのものではないか。外国人学校は「多種多様な教育」を行っていて質が担保できない、と理由付けるが、対象外となった約90施設のうち朝鮮幼稚園は40施設を占める。

 11月2日、「朝鮮幼稚園はずしにNO!すべての幼児に教育・保育の権利を!全国集会&パレード」が東京・日比谷野外音楽堂を出発点に開かれ、4000人以上が集った。「高校無償化」に続く露骨な朝鮮学校はずしに、怒りはやまない。当事者の父母らは「ひどすぎる民族差別!3歳児までも」と書かれた横断幕を掲げ、ベビーカーを押しながら参加した。

 集会では立憲民主党・共産党・社民党があいさつ。「財源となる消費税も払っているのに、なぜ、もらう人ともらえない人を差別するのか」(初鹿明博衆院議員)「子どもの権利条約は子どもの最善の利益を第一義的に考慮するよう求めている。安倍の目には在日朝鮮の子どもたちは入らないのか」(宮本徹衆院議員)「3歳から明確な経済的差別を受けることになる。安倍の姿勢がネット上の差別・排除発言を助長している」(福島みずほ参院議員)

 関東の朝鮮幼稚園10園の母親らが次々とマイクを握った。

 「なんでうちの幼稚園の子どもたちだけが、と悔しいです。悲しいです。経済的にも苦しいが、それ以上に心が苦しい。高校生が無償化を求めて文科省前で行動している。私たちも頑張りたい」

 「2人の子が幼稚園に通っている。要請や街頭宣伝に取り組んできた。頑張って、と声をかけてくれる日本人もいてとても励みになった」

 「この子たちが差別されるいわれは何一つありません。学園での子どもたちの『みんなちがってみんないい』という歌に感動した。誇りを持って、声を上げ続けたい」

 会場から励ましの拍手が起こる。幼稚園児と父母がステージに上がり、マスコット人形と一緒に歌い踊るパフォーマンスも繰り広げられた。

 参加者一人ひとりの表情は明るく豊かだ。パレードでも、多くの高校生や無償化を求め続ける卒業生、父母たちが「いじめないで」「なかまはずれにしないで」といった手作りのプラカードを手に道行く人に訴える。

 高校生らに日本人の友人の反応を聞くと、「(無償化から)外されたことをほとんどが知らない」「無償化の話題は出ても、私たちのことは知らない」という答えが返ってきた。少数者への差別を多数の無知の声で打ち消す―分断をはね返す闘いは、周囲の人びとに理不尽な差別と人権侵害の事実を知らせることから始まるのは間違いない。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS